2012/05/10(木)金環食の撮影

 天文ファンにとって、皆既日食と金環食では、同じ日食でもまったく価値が違います。コロナやプロミネンスが観測できない金環食は、「晴れたら見ておくか・・」程度の天文事象です。
 それでも今回は日本国内、しかも太平洋ベルト地帯で広く見られるとあって、世間では 2009 年7月に屋久島~奄美大島で見られた皆既日食を上回るフィーバーぶりです。

 金環食の撮影は、天体写真というよりは風景写真に近いものになると思われます。ただし、リング状の太陽そのものを撮るのは危険リスクを伴います。午前7時半ごろといえば、太陽が昇りきった後です。地平線から 30°以上の太陽を被写体として利用できる場所は限られます。

 「富士山と金環食」とか「スカイツリーと金環食」なんかは、新聞に写真が載りそうなテーマです。ただし、撮影できるポイントは限られます。食分が最大の時間は短いし、そのとき太陽がどの位置にくるかを正確に予測するのは至難のワザです。
 ビルや塔などの頂上に太陽をもってくるコツは、その影の先端に立つことです。空を見上げながら移動するより地べたを見たほうが確実です。

 そんな苦労をしなくても金環食が撮影できる身近な場所があります。地面や建物に落ちた木漏れ日を撮るやり方です。金環食のときには、木漏れ日がリング状になります。
 反射式望遠レンズでピントを外すと、点光源がリング状にボケます。あんな感じですが、もっとリングが細いはずです。部分食のうちに形がはっきり出る場所を見つけておくといいでしょう。

 同じ原理で、針穴の投影像を使って、目を痛めずに長時間観賞することができます。掃除機の延長パイプなど、長い筒の先に針穴をあけた黒紙を貼り、一眼レフのボディーに付ければ拡大写真が撮れます。ピンホール写真は、画像がちょっと甘いのが難点ですが・・・
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