2012/05/29(火)EVFはフォーマットサイズの壁を破る

 電子式ビューファインダー(EVF)を採用してミラーレス化するなら、フルサイズ機や中判カメラのほうが、メリットが大きいとの指摘があります。光学式ビューファインダー(OVF)が大掛かりだからです。ミラー駆動とファインダー機構がなくなれば、小型軽量化のほかに、大幅なコストダウンが期待できます。

 APSC フォーマットの一眼レフには、フルサイズ用の交換レンズも使えます。見え味はともかく、OVF で不都合を感じることはないでしょう。ところがフルサイズ機に APSC 専用の交換レンズを装着すると、イメージサークルから外れる部分まで表示されてしまいます。百も承知で使う分には構いませんが、一般消費者にとってはやっかいな問題です。

 ニコン D800 の場合、FX レンズを付ければフルサイズで 3600 万画素、DX レンズをつけたときは 1600 万画素の APSC サイズに設定できます。中間の「1.2倍」というモードもあります。
 ただし、ファインダーが光学式なので、撮影範囲が中央に小さく見えるだけです。望遠効果を要求するスポーツ写真は、拡大撮影できたうえに、周囲まで見えていいかもしれませんが、普通の撮影ではフラストレーションが溜まりそうです。

 現時点でそんな心配は一部の機種だけです。ただし、噂どおり普及価格のフルサイズ機が登場したら、問題は現実化します。高画素化が進み、APSC 専用レンズを装着したときは、中央の APSC フォーマット部分を切り出して記録する方式が主流になると思われます。1台のボディーで、フルサイズと APSC を使い分けるやり方です。
 そうなると、OVF よりも EVF のほうが便利です。装着したレンズの情報を読取り、自動的に視野率 100% で表示することができるからです。

 フルサイズ機は EVF が主流になり、APSC 機には OVF が残る。一般的な予測とは逆の発想ですが、あり得ない話ではないと思います。フルサイズ機を出さずに APSC 一眼レフに特化してきたメーカーもあります。ここは意地でも OVF は残すでしょうね。
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