メッセージ

2011年11月10日の記事

2011/11/10(木)三層構造の撮像センサー

 現在、フィルムみたいに1点で光の三原色を記録できる撮像センサーは、シグマが採用している Foveon センサーだけです。その他は隣りあった4素子で三原色を拾っています。このタイプが撮像センサーの主流です。
 R(赤)と B(青)に G(緑)2素子を加えて計4素子です。G が2倍なのは、人間の色彩感覚や輝度感覚に近づけるためと言われています。いわゆるベイヤー配列です。

 では 2000 万画素のセンサーは、1/4 の 500 万画素、あるいは 1/3 しかないかというと、形の上ではちゃんと 2000 万画素あります。隣にある単色の情報を頼りに、擬似的に足りない色を各素子に割り振っているからです。
 こうしたベイヤー配列は、もともとない情報を補完して画素数を稼いでいる関係で、偽色が発生するのはやむをえない構造です。それを軽減するためにローパスフィルターで光を散らし、わざと画像を甘くしています。せっかくシャープなデジタルの特性が、もったいないですね。

 ライカ M 9 や PENTAX 645D は、敢えてローパスフィルターを採用せず、シャープネスを上げています。当然、偽色やモアレ(干渉縞)が出やすくなりますが、RAW 現像の際に撮影者が手を加えてちょうだい・・というスタンスです。
 対象にしているユーザー層を考えれば、悪い選択ではないと思います。

 最近話題の裏面照射型センサーは、受け取る光の量が増えるだけで、ベイヤー配列はそのままです。高感度対応には有利ですが、偽色やモアレが出やすいことに変わりはありません。
 デジタルカメラの画像の味が大きく変わるのは、やはり新しい構造の撮像センサーが開発されてからでしょうね。

 特許情報を見ていると、ソニー・東芝・パナなど各社が三層構造型センサーを研究開発しているのが推察できます。FUJIFILM は、有機半導体を使い、一つの素子から中間の G を抜き出したあと、残りの情報から R と B を分離する方法を模索するなど、各社各様に開発しています。
 実用段階はまだ先のようですが、FUJIFILM X10 に採用された独自配列の撮像センサーは東芝製という噂だし、協業の成り行きによっては意外と早いかも?
OK キャンセル 確認 その他