2011/01/23(日)何でもアリの引き振袖

 白無垢・色打掛で挙式する人が減って、和装は写真撮影だけというパターンが増えました。ひところは、どこの衣裳店も打掛がデッドストックになっていましたが、写真スタジオが引受け先になったようです。

 和装を復活させようと、業界こぞって黒の引き振袖を新規投入しました。白無垢・打掛と違い、洋髪のまま着ても違和感がないのが特徴です。成人式でカツラを被る人はいないから、振袖に洋髪のスタイルは定着しています。
 普通の振袖と違うのは、裾が綿入れのお引き摺りになっている点です。箱迫(はこせこ)・懐剣・末広を打掛同様に使います。

 黒の引き振袖は、元は武家の花嫁衣裳でした。明治時代の写真を見ると、武家を真似たのか、花嫁衣裳は黒が目立ちます。モノクロ写真だから色はついていませんが、トーンからみて赤や青ではなさそうです。柄は少なめで留袖に近い印象です。

 業界こぞって投入した黒引きは、洋髪のままでいける手軽さが受けて、披露宴のお色直しで使われるようになりました。和装も着てみたい花嫁の心をうまく捉えたわけです。
 普及するに従って、黒以外の色も登場します。赤あり青あり黄色ありで、いまでは何でもアリの様相を呈しています。「武家の風習」という謳い文句はどこへやら・・です。

 初婚の平均年齢が上がっているとはいえ、30 前が過半数です。成人式に着た振袖と同じ感覚なんだと思います。婚礼衣裳イコール黒・・という認識はないでしょうね。
 リクルートの結婚トレンド調査では、引き振袖は「黒引き」となっています。この設問では正確なデータは得られないと思いますが、一向に訂正される気配はありません。
 単に「引き振袖」にすれば、利用した数字はもっと高くなるのでは?
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