2008/11/02(日)モノクロの写真集

 久しぶりに「酸化セリウム」の先生のところに行ったら、以前話題にした狂言師の写真集が仕上がっていました。
 すべてモノクロ写真で、90ページ近い立派な写真集です。

 もともとこの写真集は、狂言愛好家の会員に配布するためのもので、書店等では販売していません。非売品です。
 何度か撮影の手伝いをしたことがあったので、興味深く拝見させてもらいました。(ちゃんと入場料を払ったうえでのお手伝いですが・・)

 歌舞伎や演劇の舞台と違って、狂言の舞台は能楽堂です。
 あの独特の暗くて茶っぽい照明の下で、シャッターチャンスを逃がさずにきちんと写しているところは、さすがにプロですね。
 会場の最後尾にあるボックス席からの撮影だから、歌舞伎の花道から撮るような迫力はありませんが、かえってそれが品位の高い映像になりました。

 こういう特定の会員向けの写真集は、ただ写真を並べただけの記念アルバムになりがちです。
 余白や余黒を多用したバランスのよい構成は、アート感覚のある写真家ならではの発想でしょう。立派な作品集です。

 印刷屋とは刷り上りでひと悶着あったそうです。刷り直す前はこれよりかなり濃い印刷だったというから、不満足だったでしょうね。
 印刷屋は自分のミスを認めず、初刷りの分まで請求してきたとか。結局、狂言の会の役員達が自腹を切るハメになりました。印刷屋の重役がいくらメンバーだったとはいえ、組んだ相手が悪かったようです。

 流行りのブライダル写真集とはひと味違う、アート感覚の写真集でしたが、モノクロームの世界はやっぱりいいですね。
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