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2008年05月07日の記事

2008/05/07(水)レンズの傷を直す

 知り合いのプロの先生から「引伸機のコンデンサーの傷を直したい・・」と相談がありました。

 引伸機のコンデンサーレンズは、傷があってもプリントに影響しないので、普通なら「プロのくせに何言ってるの!」で終わりです。ところがこの先生は、点光源ユニットを使っているので、コンデンサーの傷がプリントに影響します。
 一般的な集散光式の引伸機とは、ちょっと勝手が違います。

 再研磨して直すようなことを言っていたので、参考になるWEBサイトを教えておいたら、電話で「やっぱり磨く!」とのこと。「アンタに借りてた本にも載っていたが・・決心した!」そうです。
 『反射望遠鏡の作り方』という本があったはずが、探しても見つからないので、インターネットの自作サイトを教えたのですが、この先生のところに行ってたんですね。道理で「磨いて直す」なんて過激なことを思いついたわけです。

 反射式望遠鏡のミラーを自分で磨いて作るのは、昔から天文ファン(マニアとは言いたくない!)の間では、よく知られたことです。ニュートン式なら1/8λ以下の放物面鏡に仕上げなければならないので、テキストがないとできません。
 コンデンサーの傷を直すのは、もっと簡単です。光源と原板の間に入る光学系なので、レンズを磨くような精度は必要ないからです。

 光学ガラスの研磨には酸化セリウムの粉末を使います。仕上げは1000番か2000番の細かいパウダーで行ないます。撮影用のレンズに傷がついた場合でも、この粉で磨き直すことは可能ですが、やめといたほうが無難です。
 もとの曲面を維持するのが難しいこともありますが、それよりもコーティングが全部ハゲてしまうからです。

 この先生みたいに、1930年代のカメラをコレクションしているひとなら話は別だけどね。
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