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2008年05月11日の記事

2008/05/11(日)カールツァイスの話2

 工場視察に行った日本人のディーラーに、カールツァイスの人間がこぼしたグチは他にもあります。

 「日本人はわずかなホコリが入っているだけでレンズを返品する」ということです。ツァイスの検査は厳しく、少しでも基準に達しないと製品として出荷しません。一旦検査を通った製品には、絶対的な自信を持っています。
 ホコリやゴミが入っていようが、自分達の基準をクリアした以上は良品である・・という姿勢です。

 日本からの返品があまりに多いので、仕方なしに、検査のときなるべくホコリの少ないものを選り分けて、日本に輸出していたようです。それでも、些細なことで返品になると、再検査してヨーロッパの国に出荷していたとか・・・
 ヨーロッパでは、カールツァイスのブランドは、絶大な信頼を獲得しています。日本人は「木を見て山を見ない」民族だと思われていたようですね。

 これと同じ話をドイツ人の大学教授から聞いたことがあります。
 この先生は光学製品が好きで、カメラや望遠鏡をたくさん持っていました。見せてくれた天体望遠鏡は、マクストフ型のもので、外観はかなり磨り減って使いこまれたものでした。
 「日本人はすぐ外観でものを判断するが、この望遠鏡はとても高性能で良く見える」と自慢してました。見た目よりも実用性を重視する考え方です。

 当時日本で販売されていたツァイスのレンズには、発売元の保証書とツァイスの検査票がついていました。日本人は保証書を重視しますが、本当は検査票のほうが重要な意味を持っています。
 もし万一、クレームが発生してツァイスの検査基準をクリアしていなかったら、検査票にサインした技師は減俸なんだそうです。鉛筆でクシャクシャと書かれたサインの重みを感じましたね。
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