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2012年12月06日の記事

2012/12/06(木)超望遠もニコンの十八番

 Nikon F/F2 の時代に、魚眼レンズを何本も揃えていたのはニッコールだけでした。ニコン F システムが特殊な業務用途に使われていた証しです。報道関係は判で押したようにニコンでした。キヤノンは F-1 を投入し、何とか食い込もうと躍起でしたが、なかなか壁を突破できずにあがいていました。
 もうひとつ他社を大きく引き離していたのが、超望遠レンズの充実です。一般ユーザー向けは 300mm までがせいぜいだった時代に、大砲みたいなレンズをズラリと揃えていました。

 400mm から 1200mm は、ピント合わせのヘリコイドと絞り機能を持たせた、共通のフォーカシングユニットを使います。レンズが二つに分離できたので持ち運びが楽でした。フォーカシングユニットは3万円ほどだったから、大幅なコストダウンにはならなかったと思います。
 超望遠レンズの絞りはまだプリセット式や普通絞りが多かった中で、フォーカシングユニットは自動絞り機能を備えていました。ただし、露出計は絞り込み測光、1200mm はレンズ側の普通絞りを使いました。

 ヘリコイドリングの繰出量が 40mm しかなかったので、400mm F4.5 は最短撮影距離が約 5m、600mm F5.6 は約 11m、800mm F8 は約 19m でした。焦点距離が長くなるほど近距離での撮影が制約されます。
 ニコンの内臓露出計は F5.6 までは開放測光が可能でした。400mm F4.5 と 600mm F5.6 は、単独設計にすれば開放測光が使えます。そんな事情からか、フォーカシングユニットを利用した超望遠システムは、やがて姿を消すことになります。

 レフレックス(反射式)望遠レンズもニコンが草分けです。500mm F8、1000mm F11、2000mm F11 の3本が揃っていました。「ニッコールレンズ読本・第3集」の光路図を見ると、主鏡と副鏡の裏側で反射させています。ミラーが屈折レンズの役割を兼用する特殊光学系です。メーカー(当時は日本光学工業)の表現は「カタジオプトリック系」となっていました。

 2000mm F11 は、どう見ても経緯台に載ったカセグレン式の反射望遠鏡です。日本光学は天体望遠鏡も製造していましたが、市販品は 8cm 屈折式でした。ミードやセレストロンみたいに、この反射式を望遠鏡として出す気はなかったようです。写真撮影用のレンズと眼視観測用の望遠鏡では、求められるスペックが違います。
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