2012/12/08(土)Nikon F の不思議な魅力
Nikon F は F2 発売の翌年、1972 年にマイナーチェンジしています。名前はそのままだったので後ろに「(新)」をつけて区別していたようです。従来品との見分け方は、巻上げレバーの指あてにプラスチックカバーがついたことと、軍艦部の日本光学のマークが Nikon のロゴに変わったことです。
F/F2 は、ボディー番号の上二桁が西暦だから、73 から始まる F は新タイプしかないはずです。1974 年に F の製造が打ち切られたので、頭が 74 のボディーが珍重されました。(74 年製の一部に 75 があるとの噂も)
F(新)が登場した 1972 年には、ニコマート EL が発売されています。ニコン初の自動露出一眼レフです。この年は新旧入り乱れた年でした。誰が考えても F より F2 が、F2 よりも EL のほうが便利です。当時の日本光学は何を考えていたのでしょうか?
結納返しはニコンがいいと家内の実家に伝えたときに、実は F にするか F2 にするか迷いました。その時点では並行販売されていたからです。先輩から借りていた関係で F の操作に馴染んでいたものの、F2 の新機能に魅力を感じていたので、ちょっと迷いました。
最後の F を手に入れていたら、おそらく使わずに仕舞い込んでいたと思います。心置きなくカメラを使いたかったので F2 にしました。
当時の F/F2 に対するユーザーの想いは、こんなスタンスだったと思います。自動露出がいくら便利でもニコマート EL は所詮、外注品でしかありませんでした。日本光学製は「ニコン」、それ以外のネーミングは外注生産品、というのはよく知られた話です。
1977 年発売の EL2 からは方針変更で Nikon ブランドに変わりましたが、この機種まではニコマートとみる人が多いようです。同名のコンビニ「ニコマート」の創業が 1980 年、倒産したのは 1999 年だから、Nikon に変更したのとは無関係です。
いま思えば、F 最後のブラック・アイレベルモデルを大事に仕舞っておいて、実用機として EL を使い倒したほうが賢明だったかもしれませんね。後悔先に立たず・・・です。