2010/12/19(日)モノクロのデジタル写真2

 デジタルのモノクロ写真は、カメラのモノクロモードでも可能です。ただし、よい結果が得られるかどうかは疑問です。メーカーが用意した画像処理エンジンの出来によって結果が左右されるのと、決められた画しか手に入らないからです。

 モノクロのデジタル写真は、RAW モードで撮影するのが基本です。色がない世界だけに、露出やコントラストがシビアになります。また、画像処理を前提にしているから、初めから圧縮画像の JPEG というのは不利です。
 現像処理を自分でするのは、銀塩時代と同じですね。

 最初からモノクロ画像であるよりも、カラー画像をモノクロ化するほうが融通性が高くなります。色相・彩度を変えることで、モノクロ化したときの画も変化します。
 RGB 3色ごとにトーンカーブがいじれるソフトだったら、さらに融通性が増します。処理技術のレベルがそのぶん要求されますが、何回でもやり直しが利くのがデジタル画像処理の特徴です。

 こうしてみると、モノクロ写真は銀塩よりもデジタルのほうが、何かにつけて融通性があるように思います。(アナログの味とかいうのは別の話)
 モノクロフィルムでの撮影は、撮影時のフィルターワークと現像処理で、画がほぼ決まります。あとはプリント処理でコントロールするだけです。
 その点デジタルは、撮影後でもカラー情報が残っているから、フィルター操作が可能です。しかも何回でもやり直しが利きます。

 後処理の融通性があるからと、ラフな撮影は禁物です。失敗のごまかしに画像処理をするのは基本に反します。シャッターを押す前にすべての問題を解決しておく・・「酸化セリウム」の先生の格言は、デジタルでも同様です。

2010/12/18(土)モノクロのデジタル写真

 「酸化セリウム」の先生のオハコは、モノクロ写真です。コマーシャルフォトの現役時代には、モノクロは自分で暗室処理していました。フィルムの選定、撮影のフィルターワーク、そしてプリント処理について語らせたら、結構うるさいタイプです。

 新聞広告の原稿は、後でデザイナーが手を入れなくてもいいレベルに仕上げるのがモットーでした。そこまでやって初めてプロの仕事だという自負がありました。デジタル写真でも同じだと思います。

 ところが、デジタル画像処理は得意なタイプではありません。デジタル・ライカを買う気になったのは、御曹司がいるからです。
 御曹司は、銀塩のモノクロ現像ではオヤジさんに勝てませんが、デジタル処理は得意分野です。デジタルのモノクロ作品で賞をとり、プロデビューを果たしました。

 業務用のデジタルバックには3回露光タイプがあるし、天体写真用の冷却 CCD にはモノクロタイプがあります。1回の露光でカラー画像が得られるタイプに比べて、画素数や画質面で有利です。
 一般の民生機には、モノクロ専用というのはないから、カラー画像をモノクロ化することになります。画像処理ソフトを使います。

 カラー画像をグレースケール化しただけでは、満足のいく結果は得られません。大抵はポヤーンとしたコントラストのない画になってしまいます。カラー写真がよく見えるのは、色でごまかされていることが多いからです。

 黄色のバックでピンクの花を撮影すると、カラー写真ではそのように写りますが、モノクロだと「花がない!」という結果になります。
 フィルムでは、撮影時にフィルター操作でメリハリをつけていました。デジタルは別の技法を使います。御曹司の出番ですね。

2010/12/17(金)デジタルもライカ

 カメラファンにとってライカは特別な存在です。いまとなっては決して小型軽量ではなく、使いやすいわけでもないのですが、その精巧なつくりは「写真機」と呼ぶにふさわしい独特の魅力を持っています。

 ライカは、著名な写真家やカメラマンに長年愛用されてきました。大御所の木村伊兵衛氏は、カメラは何でもいいと言いながら、愛機はライカでした。戦場カメラマンのロバートキャパや沢田教一氏もライカでしたね。遺品として大事に保存されています。

 精巧なつくりだけでなく、レンズの描写力に定評がありました。「空気が写る」という表現をする人もいます。ただキレてシャープなだけの無機質的なレンズとは、趣きの違う味があります。
 言ってみれば、クセがあるというか個性的な描写ですね。「このレンズはモノクロの風景写真向き」というような言い方をよくされます。

 こうしたライカ独特の描写や味を楽しむのに、デジタルは向いていないと主張する人もいます。初代 M8 のスペックでは、レンズの味を云々するのは無理かもしれません。操作性はライカだが写りは別モノ・・というのが、通の間で交わされた評価でした。

 このあたりを「酸化セリウム」の先生は、どう見ているのでしょうか? カメラマニアではなく写真家だから、写りが一番肝心なことは百も承知のはずです。
 カメラは所詮道具・・自分はライカ党でもなんでもない、と言うに決まっています。それでも欲しいカメラは、やっぱりライカなんですよね。

 先生のオハコはモノクロ写真です。フィルムと違った描写になっても、そこに新しい表現の可能性がある・・と考えているのかも・・・
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