2012/11/22(木)ニッコールレンズ読本の話_2
価格は載っていませんでしたが、スペックは細かく記載されています。鏡筒の直径が 236mm、重さが 5.2kg となっています。化け物みたいなレンズです。
こんな特殊なレンズを設計できるのに、ズームレンズはまだ開発途上でした。39 本のうちズームはたったの4本です。スペックを見てみると・・・
43-86mm F3.5 重量 410g
80-200mm F4.5 重量 830g
50-300mm F4.5 重量 2270g
200-600mm F9.5 重量 2300g
ニコンの露出計は開放測光できるのが F5.6 までだったので、200-600mm は絞込み測光になります。開放値は暗くても望遠系はなんとか揃っていましたが、ワイド系がないですね。43mm はライカ判の対角線だから、ワイドとは言えないでしょう。
当時、日本光学の人が「28mm から望遠領域までカバーできるズームがあればいいけど、それは夢物語」と言っていたのを覚えています。あのころはまさに夢でした。ヨンサン・ハチロクが精一杯だったみたいです。
そのころのズームレンズは、重い・暗い・高いの三拍子が揃っていました。買えたのはよほどのお金持ちか、予算のある企業の業務用途くらいです。写りも単焦点レンズと比べて満足のいくものではなかったと思います。
レンズ読本では、超望遠レンズの次に「ズームレンズのはなし」として紹介されています。まだ特殊レンズの扱いでした。
ワイド系のズームは 1975 年発売のニューニッコール 28-45mm F3.5、ワイドから望遠は 1977 年発売の Ai ニッコール 35-70mm F3.5 からです。初期の 35-70mm はフィルター系が 72mm の大きなレンズでした。のちの Ai-S 35-70mm F3.5 はフィルター径が 62mm。F3.5-4.5S はフィルター径が 52mm とコンパクトです。