2008/04/03(木)夜桜とCDUⅡ

 バタバタしていて、ふと気がつくと桜が満開です。毎年、桜の季節になると、変なフィルムが売れるようです。FUJIFILMのCDUⅡというフィルムです。

 このフィルムは、スライド原板を複写するのが本来の使い道です。主に使っているのはプロラボで、一般の写真屋さんには置いてありません。名前すら知らないお店が多いと思います。
 FUJIFILMのホームページを見ると、「写真撮影には向きません」と書かれています。風景を撮影するフィルムではありません。

 フィルムは、白と黒の間のダイナミックレンジが、自然界よりも狭いので、複写を重ねるとコントラストが上がり過ぎて、元の原板とは似ても似つかぬレリーフのような描写になります。
 デュープ(複写)用のフィルムは、ダイナミックレンジが広い代わりにコントラストがありません。一般撮影に使うと、ポヤーンとしたメリハリのないフラットな描写になります。

 このCDUⅡは、タングステンタイプです。しかも、シアンとイエローのフィルターで色補正する必要があります。確か15%だったと思います。シアンとイエローを足すとグリーンです。つまり、ノーフィルターで撮ると、グリーンの補色であるマゼンタがかった発色になります。

 この特異な特性が、夜桜の撮影に威力を発揮します。夜桜の照明は大抵タングステン照明です。点光源ですから、コントラストが高く、明暗差が強い照明です。マゼンタがかった発色は、淡いピンクの桜にピッタリです。
 この点だけ見れば、CDUⅡは夜桜の撮影に最適のように思えますが・・・

 最大の欠点は、感度が低いことです。ISO感度表示はありませんが、実写では1桁台に近いようです。EI(露光指数)は、ISO換算で8から16程度だと思います。
 タングステン光源以外(例えば水銀灯など)だと、実効感度は低下します。発色も予期せぬ仕上がりになるので、電球照明の夜桜以外には不向きです。

 もっと早く聞いていれば使ったのに・・というかたもおいでになるでしょう。いまから写真屋さんに取り寄せてもらっても、満開の時期は過ぎてますからね。
 でも、いままでCDUⅡを使って、きちんと撮影できたひとには、ほとんどお目にかかったことがありません。夜景の撮影に実効感度が1桁台のフィルムを使うというのは、アマチュアの既成概念を超えています。
 プロでも何人が写ってますかね。

2008/04/02(水)電圧制御のストロボ

 アマチュア用の市販ストロボは、高速シンクロ(FP発光)に対応しているかどうかの違いはあっても、構造的に大きな違いはありません。
 業務用のストロボは、かなりクセがあって、シビアな撮影には向き不向きがあります。一般的に、大光量のものは閃光時間が長く、光量を絞ると閃光時間が短くなる…というのが「常識」です。
 ところが、この関係が成り立たないストロボがあります。閃光時間の長短ではなく、電圧の変化で光量を制御しているストロボが、業務用にはあるからです。

 普通の業務用ストロボは、コンデンサー制御といって、流す電気の量で光量を変えています。それに対して、電圧制御のストロボは、放電管にかける電圧を変えることで光量を制御しています。
 電圧制御のストロボは、光量を絞っても閃光時間はあまり短くなりません。その代わり弊害として、色温度の低下を引き起こします。機種によっては、数百ケルビンの色温度低下をきたします。

 仮に5500Kのストロボが5000Kまで色温度が下がると、かなり黄色っぽい写真になります。プロでもカラーメーターを持っているひとは、コマーシャル系くらいですから、この変化にはなかなか気づきません。
 最近流行りのモノブロック型ストロボには、この形式が多いので注意が必要です。メーカーによっては、カタログに注意書きが謳ってある場合もありますが・・・

 近頃では150WS程度のモノブロックストロボが低価格で発売されています。プロ以外のひとでも使う可能性があるので、あえて採り上げました。大抵、このクラスのストロボは、電圧制御のものが多いようですね。

 

2008/04/01(火)ストロボの寿命

 ストロボは消耗品です。使っていればそのうち寿命がきます。パーツのなかでおおよその寿命が掴めるのは放電(閃光)管です。数万発程度といわれています。
 数万発といっても、2-3万発から7-8万発まで幅があります。どちらも「数万発」ですからね。

 アマチュア向けのストロボは、2万発程度と考えたほうが無難です。すべてがストロボ撮影とは限らないので、実際にはカメラの寿命のほうが短いかもしれません。通常の使用方法なら、放電管は半永久的なパーツといえます。

 放電管は、ガラスキューブにクセノンガスを封入しています。密閉されていますが、ガラス管には分子レベルの穴があるので、時間が経つと「ガス抜け」という現象が起こります。
 使わなくてもいずれは寿命がきます。それでも、よほど運が悪くなければ、先に放電管がダメになることは、めったにありません。

 放電管よりも先にダメになる可能性が高いのは、コンデンサーです。数ボルトの電圧を数百ボルトに昇圧する電気部品です。このコンデンサーは、使わなくても劣化します。電気を貯めていないと、次第に硬化して規定の光量が出なくなります。
 長い間使わなかったストロボに新品の電池を入れると、コンデンサーがパンクして故障することがあります。長期間放置したストロボには、使い古した電圧の低い電池を入れて、何発か焚いてから新しい電池を入れるようにします。

 昔のストロボはAC電源が使えたので、使い古しの電池がないときは、まずAC電源で数発焚いてコンデンサーをなじませました。ACコード直結タイプの話です。
 日本国内はAC100Vですが、海外では110Vの国が主流です。輸出モデルと国内向けを別に作るとコスト高になるので、実際には110V仕様になっています。100Vではフル充電しないことになります。
 DCとACでガイドナンバー(GN)の表示が違っていたら、AC直結タイプです。(充電完了のパイロットランプは、コンデンサーに80%電気が溜まると点くようになっているので、AC直結でも点きます。)

 ACアダプター式は、AC100VをDCに変換しているので、電池と同じです。死にかけのコンデンサーを生き返らすのには、刺激が強すぎます。
 いままでの経験から、故障の一番の要因は、電池の液漏れです。使わないときには、電池を抜いておく癖をつけましょう。
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