2008/04/24(木)蛍光灯の色補正4

 ミックス光源のなかに蛍光灯が含まれる場合は、色補正がし辛いということは、ある程度おわかりいただけたかと思います。
 人の顔を認知して補正する技術があるくらいですから、そのうち蛍光灯の輝線スペクトルを解消する技術も開発されることでしょう。

 要するに、人間の目に近い感色性の撮像板が開発されれば、問題は解決できるはずです。その代わり、赤外線撮影なんてのは、諦めてもらうしかありません。天体写真も同様です。

 元天文ファンとしては、ちょっと抵抗感がありますね。Hα線で輝く星雲が写らないなんて、寂しい限りです。
 まぁ、街路灯なしで星空がきれいに見えたほうがいいか、夜道が物騒でないほうがいいか、という究極の問題と同じで、実生活優先ということになるんでしょう。

 蛍光灯や水銀灯が実際には緑色の光だということは、現実の世界では実感できません。写真の世界で初めて出てくる現象です。
 しかし、絵画の世界では、たまに目にする機会があります。
 いまどきの画家は、写真を材料に絵を描くことが多いようです。ちょっと前のデパートの展示会での話です。

 新進気鋭の画家の展示会でした。ヨーロッパ風の建物を描いた作品で、日没直後の描写です。夕暮れ時の街並みの風景の中に、街路灯が緑色、部屋の照明がオレンジ色で表現されていました。
 「この絵は写真から描き起こしていますね」といったら、担当の女性が「えっ!何でそんなことがわかるんですか?」って、いぶかしがっていました。
 家路を急ぐハトもブレてたし・・・。「見ればわかるでしょ」といいかけて、やめました。

 色使いが独特の・・という能書きをいってましたから、「アンタの解説はアウト!」というのが気の毒に思えたからです。説明するのも時間がかかるし・・・
 美術を語るなら、もっと勉強しないとね。

2008/04/23(水)蛍光灯の色補正3

 光源としては曲者の部類の蛍光灯について話を続けます。
 蛍光灯は、輝線スペクトルという人間の目に見えない光(色)があるので、写真撮影には手ごわい光源ですが、品種がわかっていれば補正フィルターをかけることで、正常な発色が得られます。

 結婚式場の照明で蛍光灯が使われている場合は、一般的にタングステン光とのミックス光源であることが多いですね。シャンデリアやペンダントライト、スポットライトなどは、タングステン光です。
 色温度が違うだけでなく、輝線スペクトルが混ざるので、フィルターによる色補正が難しい状況となります。

 美術館などでプロが撮影するときは、蛍光灯だけ点けて補正フィルターを使って撮影し、次はタングステン光だけ点けて色温度変換フィルターを使って撮影します。要するに、光源ごとに色補正して多重露光をするわけです。面倒ですが結果はバッチリです。
 しかし、ここに外光(太陽光)が混じると、もう補正のしようがありません。かけたフィルターの色が外光にモロにかかってしまうからです。夜になるのを待つしかないでしょう。(ネガのNCで撮って後でデュープ・・なんてインチキもあるけどね)

 ミックス光源の式場での撮影では、どちらかの照明を消すというわけにはいきません。したがって、フィルター補正というワザは使えません。
 デジタルカメラのAWB(オートホワイトバランス)モードで補正しきれないときは、カスタムモードに切り替えて手動でセットします。電灯(タングステン光)や蛍光灯モードに固定しても、よい結果は得られません。固定モードは、単一光源が前提です。

 ミックス光源が多い結婚式場での撮影には、デジタル一眼レフが最適です。ホワイトバランスがカスタム設定できないコンパクトタイプやケータイで、濁りのないきちんとした色を再現するのは無理でしょうね。

2008/04/22(火)蛍光灯の色補正2

 前回紹介した蛍光灯の補正値は、あくまで目安です。プロのなかには「オレのと違う!」というひともいるでしょう。RGBをCMYに読み替えて減色フィルターだけで補正しているひともいるしね。

 美術館やギャラリーでは、特殊な蛍光灯を使っているところがあります。目で鑑賞する分には問題ないのですが、写真撮影となると支障が出ます。
 撮影を頼まれたとき、手元に補正データがない場合は、わかってる蛍光灯を元箱で持っていって、脚立に上ってすげ替えてから撮影することもあるそうです。お金をもらう撮影って大変ですね。

 結婚式の撮影では、そんな大掛かりなことはできません。その場の照明で撮ることになります。「おたくの蛍光灯の種類は?」なんて質問しても、まともな答えが返ってくることは期待できませんから、自分で判断して補正するしかありません。
 あてずっぽうで、FLWをかける手もありますが、外れたらヤバイですね。蛍光灯照明の式場では、デジタルカメラを使ったほうが無難です。

 最近は、電球色の蛍光灯がよく使われるようになりました。色温度は3000K前後で、100Wの白色電球とほぼ同じですが、やはり輝線スペクトルがあって、色が濁ります。
 デジタルカメラで、色温度を3000Kに固定しても期待する結果は得られません。カスタムホワイトバランスが設定できる機種なら、白い紙か標準反射板を使って、その場の光源に合わせることができます。

 フィルムは、色温度補正フィルター(LBA)とCCフィルターをダブル(トリプル?)で使わなければならないので、まずお手上げです。露光倍数はかかるし・・・
 フィルムは、5500Kのデーライトに固定ですからね。
OK キャンセル 確認 その他