2008/04/09(水)カメラ内蔵の露出計

 カメラのなかにも露出計が組み込まれています。反射光式の露出計です。
 被写体の反射率によって、露出が変わるので、必ず適正露出になるとは限りません。そのために、露出補正機能がついています。

 単体のメーターでは、「出た目」から半絞り程度開けた露出が基準になる・・という話を前回しました。カメラ内蔵の露出計もそうしなければならないのでしょうか?
 普段は、その必要はありません。内蔵露出計は、メーカー側である程度の調整がされているからです。

 フィルムカメラの時代には、コンパクトカメラはややオーバーぎみの露出になるよう調整されていたようです。ネガフィルムはオーバー側のラチチュード(許容量)が広いからでしょう。
 デジタルカメラになってからは、白トビしないよう逆の傾向に変わったようです。初期のデジカメは、どこか遮暗い感じの画像が多かったですね。プリントするときには、ほとんどのコマが補正してやる必要がありました。

 最近のコンパクトデジカメは、人の顔を検知する機能が採用されて、露出の精度がよくなりました。
 フィルムからプリントするときは、プリンターのオペレーターは人の顔を基準に補正をかけていました。周りの景色がどうであれ、人物がよく見えるようにデンシティー(濃度)を調整していたわけです。
 これを撮影時にするのが、顔検出機能です。

 デジカメの顔検出機能は、メーカーや機種によって違いがあります。一番わかりやすいのは、何人まで検知するか…ということですが、最大8人と10人で写りに差があるわけではありません。
 検知した顔の情報をどこまで補正するかのほうが、結果に差が出ます。露出以外にホワイトバランスまで補正するようになりました。「美肌」をウリにしている機種もありますね。

 多民族の集合写真だとどういう結果になるのかは、よくわかりませんが、笑顔を検知するとシャッターが落ちる…なんてのは、必要なんですかね。お愛想笑いではダメとかいうし・・・

 顔検出機能は、一眼レフでも普及機にはあってもいい機能だと思います。ただし、コンパクト型と違って、シャッターが開くまでは撮像板から画像情報が得られないので、同じ方式は使えません。
 かなりのコスト高になりそうですね。

2008/04/08(火)標準反射板と露出計

 露出計(メーター)の測光の基準になっているのは、反射率18%のニュートラルグレーです。このグレーの板を「標準反射板」といいます。

 自然界にあるものをすべて混ぜ合わせると、反射率18%で色の偏りがない状態になる・・という考えに基づいています。
 ほかに人間の肌の反射率とか、いろんな説がありますが、なにか基準を設けないと、メーターによってバラバラの露出になってしまいます。反射率18%のグレーがすべての露出計の基準です。

 メーターには、反射光式と入射光式があります。
 反射光式は、被写体に当たる光の反射を測ります。当然、被写体の反射率によって露出が変わってきます。露出のズレを避けるために、標準反射板を使う必要が生じます。測っている被写体の反射率は、あくまで18%だという前提があるからです。
 入射光式は、被写体に当たる光そのものを測ります。受光部が被写体を背にした状態で測るので、被写体の色や反射率は関係ありません。プロが使うのは、入射光式が多いですね。

 反射率18%の標準反射板を「出た目」で複写すれば、確かにそのとおりのニュートラルグレーに写ります。でも普段の撮影では、メーターの「出た目」どおりの露出で撮ると、やや露出不足に感じることが多いです。
 私達の生活空間が標準反射率とは違うことと、写真で表現できるダイナミックレンジが狭いことが、こうしたズレを生んでいる原因のようです。

 人物や商品を撮るとき、プロは「出た目」から半絞りほど開けた露出を基準にすることが多いですね。いわゆる「補正」をするわけです。

2008/04/07(月)メーターの使い方

 露出計(メーター)の使い方をアマチュアに説明するのは、難しい問題です。1回の測光で露出が決まる・・というのが、普通の概念だからです。
 カチッとスイッチを押して一発で適正露出が決まることは、めったにないんですが、それをいうと「なんで?」「どうして?」というのが一般的な反応です。

 あまり小難しい話をするよりも、写した再生画像からオーバー/アンダーを判断したほうが、手っ取り早いようです。プロでもそういうひとは結構います。

 たまに顔を出す写真スタジオは、証明写真でも必ずフラッシュメーターを使います。お客さんを椅子に座らせて、カチッ!カチッ!と2回ストロボを光らせて、メーターで露出を測ります。
 310WSのモノブロックストロボにパラソルをつけて、フロント2灯で撮影しているので、露出は毎回同じです。わざわざメーターで測る必要はありません。
 それでも必ずメーターを使うのは一種のポーズです。アシスタントの女性が髪を直したり、ネクタイの歪みを整えたりして、丁寧な接客を心がけています。撮影料金は、2,500円+消費税です。

 メーターの数値を確認することはありません。露出はいつも一定だからです。メーターが演出道具になっているわけです。
 すぐ近くに700円のボックス型の証明写真がありますが、どちらも流行っています。丁寧な接客と、プロらしい演出で、価格が3倍以上違っても専門店を選ぶお客さんがいるわけです。

 メーターの「本当の使い方」を知っているのは、この写真スタジオなのかもしれませんね。
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