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2010年01月04日の記事

2010/01/04(月)フィルム5円のカラクリ

 フィルムを5円で売ったのは、昨年末に訪ねた写真屋さんです。ここの社長はイベント好きで、年に一度、大売出しをやっていました。周りが田んぼや畑のローカルなエリアです。

 たまに街寄りの展示会場を借りて、盛大にやることがありました。日頃は地場のお客さんが多いのですが、近くに団地もできていて、そういうときは新しい客を獲得するチャンスです。
 売り出しの目玉で、フィルムを5円で売ることにしました。

 ただ安売りしたのでは能がありません。カメラ持参の人に5円で詰めることにしました。手間の掛かる企画です。
 わざわざカメラに詰めるのは、カメラの中に入っている撮影済みのフィルムを回収するのが狙いです。稼動中のカメラには、たいてい写しかけのフィルムが入ったままです。

 同プリの注文が取れれば、フィルムを5円で売っても元が取れます。まだ「フィルムが永久に無料」を謳う安売り店は、登場していませんでした。会場ではバナナボートの音楽が流れていたから、野茂がドジャースで活躍していたころの話です。
 売出しには、写真教室の講師で呼ばれて行ったのですが、人手が足りないというので、開店早々フィルムを詰めるお手伝いです。

 予想どおり長蛇の列でした。手早くカメラを点検しながら、フィルムを詰めていきます。なかには電池が切れたものもあって、手間と時間が掛かりました。
 故障していて、まったく動かないカメラもありました。「奥さん、このままでは写りませんよ」と言うと、「あとでお父さんに抜いてもらうから詰めて!」との返事。「写らないと判っていて詰めるわけにはいかない」と、修理に出すよう勧めても、「いいから」の一点張りです。

 その客がその後どうしたかは知りませんが、消費者心理のあさましさを垣間見て、嫌な気分になりました。地場の常連客の中には、「あんたに損をさせるわけにはいかない」と、5円のフィルムを買わない人がいたとか・・・
 そういうお客さん相手なら、5円でも損はしないんだけどね。
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