2012/12/03(月)フラッシュのガイドナンバー計算

 フラッシュバルブ(閃光電球)の時代から、適正露出を求めるのにガイドナンバー(G.N.)が使われてきました。絞りと距離を掛け合わせた数字です。例えば ISO 100 で G.N.20 なら、絞り F4 で 5m の位置が適正露出になる距離です。F2 なら 10m です。実際には露光不足でも理屈の上ではそうなります。

 その時代のストロボには自動調光機能はなく、G.N. の計算はつきものでした。フォーカルプレーンシャッターの場合は、同調速度に制約があるのも同じです。ただし、ストロボは光量が一定でしたが、フラッシュバルブは閃光時間が数十分の1秒と長いため、シャッター速度によってガイドナンバーが変わります。箱に換算表が印刷されていて、それを参考に計算していました。

 いまでも手元に残してある GN ニッコール 45mm F2.8 は、ガイドナンバーがセットできる変り種のレンズです。薄型のテッサータイプで、いまでいうパンケーキレンズのハシリです。G.N. の数字を選んでロックすると、ピントリングと絞りリングが連動して動く仕組みになっています。距離が遠ければ絞りが開き、距離が近ければ絞り込みます。
 この状態だと、もちろんピントリングは無限遠まで回りません。フラッシュ光の届く範囲しかピント合わせができないからです。オートストロボが開発される前としては、画期的な「自動露出」でした。

 そのうち自動調光式のオートストロボが登場します。被写体からの反射光をストロボ本体のセンサーが受け、適正露光になったところで発光を止めます。コンデンサーに残った電気を放電して捨ててしまうバイパス式です。
 残った電気を捨てずに利用するサイリスタ式が開発されると、近距離での撮影では連射が可能になりました。電池も長持ちします。この変化は早かったですね。

 自動調光方式のストロボが普及した時点で、ガイドナンバーは最大到達距離を示す数字でしかなくなりました。その範囲内であれば、あとの露光調整はストロボがやってくれます。
 現在では、ストロボの自動調光はカメラ側で制御しています。レンズを通った光で調光する TTL 式です。デジカメの高感度対応で、感度まで自動設定になると、ガイドナンバーの概念はなくなるかもしれません。
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