2008/08/23(土)婚礼衣裳のしきたり3
引振袖は、裾が綿入でお引きずりになった振袖です。江戸時代には、黒の引き振袖は武家の婚礼で着用されていたようです。
白無垢や色打掛は、綿帽子や角隠し姿のイメージが強く、かつらを着けないと格好がつきません。引振袖なら洋髪のままでも違和感がないので、ここへきて急速に普及しているようです。
お色直しの回数を少なくしたり、中座の時間を短縮したりする傾向があります。ゲストへのもてなしを重視する風潮が強くなりました。
洋髪のままで済む引振袖は、色打掛に比べれば着替えの時間が大幅に短縮できます。こうした事情も引振袖の人気を支えているようです。
写真の前撮りに引振袖を着るひとが増えています。写真を撮るだけでかつらを着けるのは大変です。洋髪のままで済む引振袖は、手軽に楽しめる和装です。
引振袖は、成人式の振袖と比べると、きものの形だけではなく小物も違います。箱迫(はこせこ)・懐剣・扇子は婚礼用のものを使います。和婚に慣れている美容師さんなら、粗相はないはずです。
数年前までは、婚礼の引振袖といえば黒の引振袖でしたが、いまでは何でもありです。本来の由来を離れて、もうファッションですね。赤ありピンクありです。
嫁いだ家の色に何とでも染まる・・という意味の色無垢よりも、流行の引振袖に魅力を感じるのは、当然かもしれません。