2011/02/11(金)ある呉服店の興亡

 懇意にしていた写真スタジオに久しぶりに電話を入れました。以前そこが成人式の撮影をしていた呉服店が、どうも危ないという情報が入ったからです。ひょっとして、まだ仕事を請け負っているのでは?と思い、連絡しました。
 その呉服店は数年前に増築した際に、写真スタジオを併設しています。現在つながりはないとのことで安心しました。

 開口一番、「本業以外のことに手を出した結果では?」との分析です。何でも内製化して利益を独り占めしようとする姿勢は、結果的に本業をダメにするとの意見でした。
 専門のプロが協力して仕事をするのが、この先生のモットーです。ヘアメイクは美容師、衣装は専門店、撮影は写真スタジオが担当すべきとの考え方です。

 そういう方針だから、スタジオには衣装は一切置いてありません。近ごろハヤリの子供写真館とは、まったく違うやり方です。
 かつて修行したスタジオは、いまでは衣裳館まで作って撮影用の衣装を揃えています。それはそれでひとつの方法だと、決して悪口を言わないのがこの先生の偉いところです。自分には自分に合ったやり方があるんだとか・・・

 経営不振になった呉服店とは、長い間コラボレーションしてきました。一流の呉服店と認めていたからです。「コストダウンで海外縫製に走るのは、日本の和の文化を衰退させる」という社長の考えに共感して、撮影の仕事を請け負うことにしたそうです。

 それが、途中から写真代のコストダウンの話になり、別の写真館に鞍替えしてしまいました。呉服店が自前で写真スタジオを構える前から、すでに協力関係は切れていたようです。
 「本業に徹していれば、規模を縮小してでも生き残れただろうに・・」と、残念そうでした。
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