2008/04/06(日)デジカメと露出計

 デジタルカメラの時代になって、露出の問題は楽になりました。オーバーやアンダーがその場で判断できるので、失敗の確率が少なくなりました。
 色温度の補正も楽になりましたね。原理さえ知っていれば、1-2回の補正で自然な発色が得られるようになりました。

 デジタル時代になって、露出計(一般にいうメーター)の出番が少なくなりました。デジカメを露出計代わりに使うケースも増えました。
 でも、露出計の出番がまったくなくなったか?というと、そうではありません。メーターの使用法に対する考え方にもよりますけどね。

 メーターのスイッチをカチッと1回だけ押して、シャッター速度と絞りはいくつ・・という使い方をしていたのなら、デジカメに外部露出計は不要です。
 メーターの本当の使い方は、一発で適正露出を求めることではありません。AとBの二つの光の差を知るために測るのが、本来の使い方です。
 この概念は、アマチュアには少々難しいかもしれません。

 以前、アマチュア写真家向けの写真教室で、雪景色のなかの「残り柿」の写真を批評したことがあります。よく撮れてました。
 「難しい場面ですが適正露出ですね」と誉めたら、自慢たらしく「1゜のスポット露出計で柿の部分だけを測ったからなぁ」との説明です。「・・・」、返す言葉がありませんでしたが、「よ、よかったですね・・」とだけ言っておきました。
 たまたま柿の反射率が結果的に幸いしただけのことですが、このひとはそれが正しいテクニックだと思い込んでいるわけです。真っ黒に干からびた柿だったら、どうなっていたんでしょうね。

 メーターの本来の使い方を知っているひとは、持っている人の5人に1人いるかいないかです。写真を職業にしているひとも含めた話です。
 カチッと押して一発で適正露出が得られると考えているなら、デジカメに外部メーターは必要ありません。

2008/04/05(土)ストロボの色補正2

 ストロボにフィルターをかけるという発想は、普通はないですね。レンズの前につけるのが一般的な使い方です。

 手元にあるcokin(コッキン)のフィルターのなかに、ストロボ用とレンズ用がセットになっているものがあります。現在ケンコーが販売している83mm角ではなく、ひとまわり小さい古いタイプのものです。
 レンズ用の色と逆の色(補色)がセットになっていて、一方をストロボにつけることで、面白い表現が可能になります。

 夕焼けを強調するためにオレンジ色のフィルターをレンズの前につけたとします。当然、画面全体がオレンジ色になります。もし、近くに人物がいたら、人物もオレンジ色になってしまいます。
 補色のフィルター(シアングリーン)をストロボにつけて撮ると、ストロボ光が届く人物だけはオレンジ色と相殺されて、普通の発色になります。結果として、遠景はオレンジ色、人物は普通の色になるわけです。

 実際には、この理屈どおりにはいきません。ストロボ光の効き具合によって微妙に発色が変わります。完全に一致して普通の色になるよりは、少しオレンジ側にズレたほうが自然な感じですね。

 コマーシャル系のプロは、こうしたテクニックをよく使うようです。cokinみたいな濃いフィルターを使うことは稀で、5%かせいぜい10%程度の淡い色が多いですね。
 植物の緑を強調するために05GのCCフィルターをレンズにつけ、ストロボに補色の05Mをつけて人物だけに当てる・・なんて使い方をするわけです。
 問題は、ストロボの影になる部分に05Gのグリーンが残ることです。これを打ち消すために、影の部分にマゼンタがのるフィルム(例えばVelvia)を使って、現像時の増減感をいくつにするか、というところまで計算するそうです。

 お金が取れる写真というのは、相当な手間暇とテクニックが要りますね。

2008/04/04(金)ストロボの色補正

 ストロボは、夜桜の撮影にもよく使われます。

 うんと絞り込んでおいて、シャッターが開いている間に何発か光らせる方法もあります。カメラ位置からではなく、桜の木の近くで場所を変えながら手動で発光させるわけです。助手が要るけどね。

 ライトの光は定常光なので、風が吹くと枝がブレて写ります。ストロボ光は瞬間光なので、ブレません。両方ミックスすると、動きのある写真が撮れます。
 このとき問題になるのは、ライトアップの照明とストロボの色温度が違うことです。小型ストロボの色温度は太陽光と同じか、やや高めです。ライトアップの照明はタングステン光が多いので、発色が異なるわけです。

 フィルムでの撮影は、使うフィルムによって色温度が決まります。一般的なものはデーライトタイプです。太陽光やストロボ光を基準にしています。(注:前回紹介したCDUⅡはタングステンタイプです。)
 デーライトタイプは、ストロボの光が基準になるので、色温度変換フィルターを使うのは無理が生じます。ライトアップの黄色っぽい光が混ざった画像を狙うしかありません。

 デジタルカメラは、色温度が変えられるので、少し事情が変わります。ホワイトバランスをタングステン(電球)モードにすれば、ライトアップの照明を基準にすることができます。
 このモードでストロボを使うと、青い発色になるので、ストロボの前に色温度変換フィルター(LBA12)をかけて、ライトの光と色温度を合わせます。

 実際にこのやり方で撮影すると、少し違和感のある写真になります。周りの状況は夜なのに、桜だけが昼間の発色になるからです。
 やはり夜桜は、ちょっと暖かみのある色目がないと雰囲気が出ないようです。デーライトモードにしておいて、ストロボの前に10%か20%くらいのマゼンタ色のフィルターをかけるくらいが、よいのかもしれませんね。
 
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