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2011年08月29日の記事

2011/08/29(月)ソフトフォーカスのレンズ

 CAPA 創刊2号には、「名機復活」と題して、ベス単のレンズを使ったソフトフォーカスの写真を紹介する記事が載っていました。
 ベス単とは、コダックのベスト判フィルムを使う、単玉レンズ付のカメラです。大正から昭和の初めころまで、普及機としてアマチュア写真家に愛用されました。

 単玉ということは、球面収差と色収差が補正されていない、撮影レンズとしてはかなり問題のある仕様です。絞り込んで撮らないと、ピンボケになってしまいます。
 この特性を逆手にとり、一眼レフに取り付けて、ソフトフォーカスレンズとして使う方法を紹介していました。

 ベス単といえば、地元の写真家・臼井薫氏を思い出します。ベス単レンズを使って、ソフトフォーカスの写真を専門に撮る「ベス単写真作家集団」を結成しました。
 発足はこの記事が掲載された翌年の 1982 年ですが、発案は臼井先生のほうが早かったと思います。先生がベス単を賞賛したことで、中古相場が1万円前後から2万円くらいに上がったそうです。CAPA によれば「2万円前後で手にはいる」とあるから、やはり先生のほうが先ですね。(そういえば、どこかの雑誌にも載って・・とか言ってたなぁ)

 一眼レフボディーにつけた理由は、ベスト判フィルムが手に入らないだけではありませんでした。シャッター速度が最高 1/50 秒では、絞り開放で高感度フィルムが使えないからです。シャッターは外して、レンズ部分だけを流用します。
 フランジバックとピント調整は、ヘリコイド接写リングが使える PENTAX が一番簡単です。記事ではスクリューマウントの SP-F を使って解説していました。

 臼井薫氏は、昨年暮れに 93 歳で逝去されました。いまごろは天国で、実弟の故・天地茂氏と仲よくやっていることでしょう。ご冥福をお祈りします。
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