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2011年09月04日の記事

2011/09/04(日)PLフィルターと空の色

 アナログかデジタルかを問わず、役に立つ PL フィルターですが、上手に使うには少々コツが要ります。偏光膜の原理と特性を知ることが大事です。

 偏光膜は、目に見えない細かい簾(すだれ)のような構造になっています。自然の光は、あらゆる振動方向のものが混ざっていますが、偏光膜を通すと一定方向の光だけが通過します。
 ガラスに反射して見える像は、振動が一定方向に揃っているので、偏光膜のスリットと平行なら通過し、直角に交わる角度なら完全にカットされます。ガラスや水面の反射をカットするには、この原理を使います。

 偏光膜を通過するのは、振動が一定方向の光だけです。反射光以外の光もカットされるので、通過する光は少なくなります。PL フィルターを通すと、かなり暗くなるのはこのせいです。
 この性格を利用し、ND フィルターの代わりに使うこともできますが、まったく同じとは言えません。ND フィルターは、その名のとおりニュートラル・デンシティーです。すべての振動方向の可視光を均等にカットします。偏光フィルターは、色に偏りが出ることがあります。

 空からの光は、太陽に近い場所はあらゆる振動方向の光が混ざっています。PL をかけてもほとんど変化はありません。反対側の空は、反射光を多く含んでいます。PL をかけると反射光がカットされて暗くなります。
 よく「偏光フィルターをかけると空の青さが増す」という表現を使いますが、空の青い反射光がカットされるので、正しくは「空が暗くなる」です。

 標高の高い山で PL を目一杯かけると、青空が宇宙の色になってしまいます。景色は昼なのに、まるで夜空です。特殊表現が目的ならいいのですが、自然に見せたい場合は、あまり PL を強くかけないほうがいいでしょう。
 標高千メートル以上なら、ND フィルターのほうが自然に写ります。目に見えない紫外線を完全にカットして、空が白っぽくなるのを防いでくれるからです。可視光をカットするくらいだから、UV フィルターよりも効果は強力です。
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