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2011年09月26日の記事

2011/09/26(月)デジタル撮影でのアオリ

 アオリを使う目的は様々です。例えば、建築写真で建物を真っ直ぐにしたい場合は、バックティルトを使って形を修整するか、建物と平行にカメラをセットしてシフトします。
 物の形を修整するのは、画像処理でも可能です。最近の建築写真は、後から画像処理でパースを修整するやり方が増えました。特に内装関係は、超ワイドが使えるデジイチで撮影したほうが楽です。そのぶん撮影コストが安くなりました。

 アオリのもうひとつの特徴は、レンズと平行でない面にピントを合わせることができることです。山から手前の景色までピントを合わせたいとき、絞り込んでも被写界深度に収まらない場合があります。フロントティルトを使えば、山と手前の景色を結ぶラインにピント面をずらすことができます。

 被写界深度で稼ぐ方法は、ピントの合っているのは1ヶ所だけです。あとはボケを抑えてごまかしているに過ぎません。アオリを使ったピント面の移動は、ほぼすべてにピントが合ったシャープな写真が得られます。
 大判カメラを使った風景写真では、この技法がよく使われます。昔はストレートに撮影していた人も見受けられましたが、いまでも大判を愛用している人にそんな素人はいないでしょう。

 この効果をデジタル処理で済ますのは、まだ無理があります。無限遠から近距離までピントをずらしながら連続撮影し、ピントの合ったところを何カットか抜き出して合成すれば、理屈の上ではできそうですが・・・
 ピントの合っていないところは、ボケて像が膨らむから、それを修整するだけでも大変な作業です。遠近2ヶ所にはっきり分かれた被写体でもない限り、デジタル処理でパーンフォーカス効果を得るのは難しいでしょう。

 一方、逆ティルトでピントの合ったところ以外をボカすアオリ技法は、デジタルでもすでに実用化されています。「ミニチュア」とかいうフィルター効果です。わざとボカすのは、比較的簡単にできるみたいですね。
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