メッセージ

2009年08月02日の記事

2009/08/02(日)大口径の標準レンズ

 いまとなっては誰も疑うことはない、135サイズの標準レンズが 50mm という基準は、誰がいつ決めたのでしょうか?

 ライカ判の元祖ライカA型のレンズが 50mm F3.5 だったから・・という説が有力です。あとに続くメーカーが、それを真似したので、50mm が定着した・・という言い分です。(なるほど)

 ライカLマウントの規定は、口径 39mm、フランジバック 28.8mm、標準レンズ 51.6mm となっています。バヨネット式のMマウントになっても、標準レンズの焦点距離は、51.6mm のままでした。

 A型ライカの実物を見たことはないけど、たぶんレンズには「5cm」という表示がされていたと推察します。51mm でも 52mm でもない 5cm です。
 もしドイツがメートル法ではなく、インチを使っていたなら、2インチ(=50.8mm)という表示になっていたはずです。
 24×36mm のフォーマットで、焦点距離 51.6mm というのは、レンズ設計上の都合があったからだと、私なりに勝手に解釈しています。

 手元にあるプラナー T* 50mm F1.4 AE は、正確には 51.8mm です。これはツァイスの基準によるものです。
 一眼レフが登場してから、フランジバック(マウント面とフィルムの距離)は 44mm ~ 48mm と長くなります。ミラーボックスの関係です。
 当時の標準レンズには、50mm よりも長い焦点距離のものがありました。55mm や 58mm といったレンズがあったのは、バックフォーカスの制約で、ダブルガウスタイプの 50mm を作るのは難しかったからだと言われています。
 そんな制約のなかでも各社は、標準レンズの大口径化にシノギを削りました。

 PENTAX が、スクリューマウントからバヨネット式のKマウントに変わったあとで、50mm F1.2 という大口径レンズが発売されました。当時 F1.2 で 50mm という焦点距離のレンズはありませんでした。他社は 55mm ~ 58mm です。
 開口径 42mm のスクリューマウントのままでは、50mm F1.2 のレンズは作れなかったそうです。Kマウントがいかに大口径で優れているかを自慢していた人がいました。(レンズ設計って、そういうものなんですね)

 レンズ設計者の意地や拘りに支えられ、焦点距離 50mm が135判標準レンズの「不動の地位」を守り通すことになりました。
OK キャンセル 確認 その他