2009/08/13(木)コシナのツァイスレンズ

 日本では一般ユーザーにあまり馴染みのないブランドですが、写真愛好家にとってコシナという光学メーカーは、特別な存在意義があります。
 オートフォーカスやデジタル専用ではない、マニュアルフォーカスのカメラとレンズを生産している変わった会社です。

 1999年にドイツ・フォクトレンダーのカメラブランド BESSA(ベッサ)を復活させました。1号機の BESSA-L は、ライカLマウントでしたが、のちにバヨネットタイプのMマウントを採用したカメラを発売します。
 2004年にカールツァイスと提携してからは、ツァイスイコンのカメラを復活させ、一眼レフ用には各種マウントのツァイスレンズを製造しています。

 京セラがカメラ事業から撤退して、コンタックスのブランドは休眠状態となりましたが、ツァイスレンズは健在です。オートフォーカスタイプはソニーが、マニュアルフォーカスタイプはコシナが受け継ぐ形になりました。
 コシナが生産する一眼レフ用のツァイスレンズは、ニコン用、キヤノンEOS用、ペンタックスK用とプラクチカ(M42 スクリュー)用があります。

 いずれもマニュアルフォーカスだから、ヤシカ時代のツァイスと似たようなスペックです。リバイバルのものもあれば、新設計のレンズもあります。昔ながらのしっかりした筐体は、マニュアルならではの作りです。

 αマウント以外のカメラは AF ではないものの、ツァイスレンズが使えるというのはうれしい話です。引退した Nikon F2 や義理で買ってしまった PENTAX LX チタンにも使えるわけです。
 でも、フィルムカメラで使うのなら、手元にヤシカ・京セラ時代のツァイスレンズがゴロゴロしています。うっかり買ってしまわないよう注意しないと・・・

 買うとしたらデジタル一眼レフ用ですね。デジイチできちんと写るかどうか、気になるところです。テストの評価は、おおむね良好のようですが・・・
コシナ製ツァイスのテスト結果はコチラを参照

2009/08/12(水)ツァイスレンズは今?

 京セラがカメラ事業から手を引いて、135用のツァイスレンズは、ソニーが扱うようになりました。αマウントのカメラでツァイスの味が楽しめます。

 当時、CONTAX ではオートフォーカス対応が遅れ、やっと出たNシリーズはマウントの互換性がありませんでした。手元にあるマニュアルフォーカスのレンズが使えないということは、別のメーカーのカメラと何ら変わりません。
 ツァイスレンズを愛用していた人は、落胆することになります。

 ツァイスが AF化になかなか踏み切らなかったのは、自社の設計基準をクリアできなかったからだと言われています。
 ボディー側のモーターでレンズを回すためには、鏡筒をプラスチック化し、レンズ自体を軽量化する必要がありました。こうした設計変更は、ツァイスの品質維持を難しくするという考えが、AF化にブレーキをかけます。

 AF化が遅れたために、CONTAX の愛用者で、他社の AF機に乗り換えた人は多かったと思います。CONTAX ファンは年配者が多かったから、「いくらツァイスがよくても目が・・」ということでしょうね。
 αマウントのツァイスは、オートフォーカスで使えます。ミノルタファンにとってはラッキーな展開となりました。逆に、CONTAX Nシリーズに乗り換えた人は、置き去りにされてしまいます。(Nデジを探すか・・)

 ツァイスに限らず、ライカなどドイツ系のレンズには、独特の味があります。レンズの味は水と一緒で、人によって好みがあります。不純物を何も含まない真水がまずいように、適度にミネラルを含んでいるのがおいしい味の要素です。
 ライカのレンズに、ミノルタの材料が使われていたというのは、日本のメーカーがドイツから味を学んだ成果でしょうね。

 ツァイスのレンズを扱っている日本のメーカーが、もう一社あります。コシナです。こちらは、マニュアルフォーカスのレンズで、ニコン・キヤノンEF・ペンタックスK・M42スクリューと、ツァイスZM マウント用が供給されています。
 国内生産品ですが、T* マークつきだから、レンズ設計・コーティングともに正真正銘のツァイスレンズです。

コシナのツァイスレンズはコチラを参照

2009/08/11(火)バリオゾナーと単焦点

 ツァイスとヤシカが協同して復活させた CONTAX は、当時のカメラ界に様々な波紋を起こしました。一番ショックを与えたのは、良いレンズに対する考え方です。
 当時の日本のレンズは、解像力に重点が置かれていました。それに対してツァイスのレンズは、コントラスト重視です。コントラストか解像力か・・・ 一大論争が巻き起こります。

 レンズの設計は、解像力を上げればコントラストが低下し、コントラストを上げれば解像力が落ちるという、二律背反の世界です。双方のバランスをどこでとるかが本質的な問題なのですが、日本のメーカーは、解像力に少々偏りすぎていたのかもしれません。

 それと同時に、単焦点かズームレンズか・・という論争も起きました。単焦点レンズのほうが、ズームレンズよりも写りがいいのは常識です。ズームレンズの性能が、著しく向上してきたことで、この常識が微妙に変化した時代でもありました。

 当時のツァイスは、単焦点・大口径が得意でした。なぜ日本人は暗くて性能が劣る高いズームレンズを欲しがるのか?と不思議に思われていたそうです。同じ金額で明るくて高性能の単焦点レンズが何本か買えるのに・・という言い分です。
 自社のバリオゾナーを「高くて性能が劣るレンズ」と言うこところが、ツァイスらしいですね。確かに値段は高かったけど、写りは並の単焦点レンズを越えていたと思いますが・・・

 時代は変わって、デジタル一眼レフが全盛です。ソニーがα用として、ツァイスの交換レンズを供給しているのには心が動きます。APSC 専用は1種類だけで、135フル対応がほとんどです。ズームタイプのバリオゾナーが中心で、得意の大口径単焦点レンズは2本だけ供給されています。

 中望遠定番の Planar T* 85mm F1.4 ZA は、やはり135フルで使いたいレンズです。レンズ構成は従来のプラナーを踏襲しつつ、後玉を2枚追加した新設計です。
 Sonar T* 135mm F1.8 ZA も魅力のある大口径レンズです。CONTAX 用はプラナー 135mm F2 でしたが、α用はゾナーとなっています。特殊低分散ガラスを2枚使った新設計です。
 どちらもフルサイズのα 900 で使いたいですね。(私は潜在的にズーム嫌いなのかも?)
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