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2010年11月08日の記事

2010/11/08(月)短命だったラピッドフィルム

 家電製品の記録メディアと同様に、銀塩フィルムでも競争に敗れて短命に終わった規格があります。コダックのディスクフィルムは、まだ記憶に新しいほうですね。それよりも前に、ラピッドフィルムという方式がありました。

 1964 年に当時の西ドイツのアグファゲバルト社が開発した方式です。35mm フィルムを使用していたので、新規格というよりは、新方式といったほうが正確かもしれません。
 マガジンに装填された 35mm フィルムをもう一方の空のマガジンに送る方式です。巻き戻しが要らないのが特徴でした。新たにフィルムを装填するときは、空になって残ったマガジンを送り出し先に使います。

 この方式は、コダック社が 1963 年にフォトキナで発表したインスタマチック(126判)に対抗して出されました。35mm フィルムが巻き戻しを必要とするのに対し、インスタマチックは、送りっ放しで済むカートリッジ式を採用していました。
 どちらも、パトローネ式 35mm の最大の難点は、巻き戻しにあるという発想だったようです。

 ラピッドフィルムは短命でした。ラピッド陣営だった FUJIFILM は、その理由を次のように挙げています。発売時期が 40 年不況と重なったこと、カメラのデザイン・構造がいまひとつ魅力に欠けていたこと、カメラ内部のフィルムの平面性に問題があったことです。(「富士フイルムのあゆみ」より)

 そのほかに、24x36mm のライカ判だと 12 枚しか撮影できなかったことが挙げられます。撮影済みのフィルムを収納するマガジンには巻取り用の駆動軸がなく、ギア式のスプロケットで送り込む方式を採用したために、フィルム長に制限がありました。

 フィルム自体は 135 規格なので、専用マガジンが2個あれば、いまでも撮影可能です。暗室かダークバッグで、約60cm に切ったフィルムを詰めて使います。
 フィルム感度はマガジンのノッチで判断する仕組みになっていたようで、現在の高感度フィルムを使う場合は工夫が必要かも・・・
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