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2010年11月11日の記事

2010/11/11(木)巨匠とデジタル写真

 先月まで、細江英公氏の「人間ロダン展」が、リコーフォトギャラリーで開かれていました。撮影したカメラは、なんとリコーの GR DIGITAL です。写壇の巨匠もデジタル写真を活用しています。

 ずいぶん前に氏が、デジタル技術をいかにうまく生かすか?という話をしているのをどこかの雑誌で見た記憶があります。「アナログかデジタルか」なんて論争は、アートの本質には関係ない、技法や手段の話なんでしょう。
 ロダンの作品を「彫刻の写真」ではなく、「人間ロダン」として表現したかったとか・・・
 尊敬するロダンへの意思表示をするのに選んだのが、自分の手足となるまで馴染んだコンデジだったということです。

 プリントには和紙を使ったそうです。銀塩素材ではできない、デジタルならではの表現です。「酸化セリウム」の先生の御曹司もプリントする紙に前加工をしていました。デジタル写真の面白さは、撮影手段よりも出力手段にあるような気がします。

 こうした新しい技法は、やはり若い世代の自由奔放な発想が牽引役です。氏の周りには、若手の写真家やアーティストがいっぱいいるのでしょう。
 デジタル時代になっても活躍している写真家の一人に、森山大道氏がいます。彼は 1960 年代前半に、短期間ですが細江氏のアシスタントを勤めていました。たぶん暗室処理でしょうね。

 その後、森山大道氏は「アレ・ブレ・ピンボケ」のセンセーショナルな写真を発表し、論争を巻き起こします。それまで常識とされてきた、微粒子でピントのシャープな写真が手本という固定観念への挑戦でした。
 同時代の写真家たちに与えた影響は、多大だったと思います。
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