2008/05/09(金)マルチコーティング

 最近のカメラ用レンズは、マルチコーティングが施されています。単層コーティングに比べて、透過率・カラーバランスとも向上しました。フィルターでもマルチコーティングが主流です。

 マルチコーティングは、メーカーによって名前がついています。カールツァイスはT*(ティースター)、PENTAXはSMC、タムロンはBBAR、FUJIFILMはSuper EBCというように、各社とも独自性を強調しています。
 大本は、カールツァイスの他にもう一社あるくらいで、元をたぐればどちらかに行き着く・・なんて話もありました。カールツァイスから特許を買ったアメリカのNASAから「又買い」したメーカーもあるようです。

 ツァイスのT*コーティングには門外不出の部分があって、NASAもすべては買っていないと思います。京セラがヤシカを買収して、CONTAXの製造販売権を握っていたときでも、肝心の部分はツァイスの人間が厳重に管理していたとか・・・
 結構値打ちのある技術なんですね。
 ツァイスから設計図だけを買っているローライのレンズには、赤いT*マークはありません。(Tの字だけは入ってます)

 巨大な坩堝(るつぼ)でガラスを溶かしてレンズを作っていた時代は、坩堝によってガラスの色目が微妙に違っていました。何でも構わず同じコーティングをして、マルチコートを売り文句にするのはおかしい!という技術者もいました。
 当時のニコンは、コンビネーション・コーティングといって、ガラスによってコーティングを変えているというのがウリでした。「C」という記号がついたレンズがそれです。いわゆる「マルC」レンズです。初期の「マルC」はマルチコートであるような、ないような・・・
 
 写真用品メーカーが、こぞってフィルターを発売したときに、ある用品メーカーのひとがこんな話を聞かせてくれました。「三層あればマルチコーティングと表示してもいい」そうなんです。
 なんか最近はやりの「糖分ゼロ」の発泡酒と同じで、怪しい表示ですね。(糖分はゼロでも糖質はあります。アルコールは糖質ですから・・・)
 当然、この用品メーカーのフィルターは、3層だけの「マルチコート」だったんでしょうね。
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