2011/09/28(水)掌サイズのポタ赤

 前回は PENTAX のアストロトレーサーを採りあげましたが、趣味で星野写真を撮る場合は、ほとんどの人が赤道儀を使っています。望遠鏡の鏡筒に相乗りさせたり、ポータブル型赤道儀(いわゆるポタ赤)にカメラだけ取り付けたりして撮影します。きちんと調整すれば、露光時間が長く取れるのと、追尾精度が高いのが特長です。

 日周運動を追うには、赤経軸の回転だけで十分です。地球の自転と公転分(1日に約 361 度)に合わせて回転する装置があれば、星を自動追尾できます。これが「ポタ赤(せき)」です。
 赤緯軸がない割には価格は高めです。微動で修整する必要がないよう、精度を上げてあるからでしょう。ケンコーから出ているスカイメモ R は、架台まで入れると 10 万円ほどします。

 そんな中で、小型・軽量・格安のポタ赤があります。地方の天体望遠鏡専門店アイベルが発売元の CD-1 です。直販価格は 34,800 円。本体 110x85x145mm、重さ 1.2kg と掌サイズです。(大きな掌?)
 説明書によれば、標準レンズの露光時間は、極軸と1度の誤差で 8~10 分、2度ズレると 4~5 分となっていました。

 回転軸を地軸にいかに正確に合わせるかで、ポタ赤の精度は左右されます。本体付属の極軸調整筒(ただの細パイプ)では、1~2度の誤差はやむをえないでしょう。この筒の中に北極星が入るよう角度を調節します。
 別売の極軸望遠鏡を使えば据付精度を上げられますが、それでも角度で 10~20 分までがせいぜいのようです。

 別に CD-1M+ という機種があります。こちらは恒星時速を 0.5・2・16 倍に変速できます。0.5 倍は、地上の景色と一緒に撮るときに使います。星が点で写せる露光時間は減りますが、地上の景色のズレを抑えられます。
 天体望遠鏡専門店にしては気の利いた配慮ですね。
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