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2008年03月20日の記事

2008/03/20(木)ストロボの活用法

 三脚の話が続きました。結婚式の撮影でウエイトが高いのは、三脚よりもストロボです。ここしばらくは、ストロボの使い方について考えてみようと思います。

 フィルム全盛の時代は、室内などの暗い場所での撮影には、ストロボは不可欠でした。ISO400程度のフィルムで、ストロボなしで撮影するのは、かなり無理があります。
 手ブレするという露出的な問題よりも、色温度の補正が難しかったからです。(色温度補正フィルターを使えば、露出倍数がかかるので、当然ブレずに撮影することは無理ですが・・・)

 ネガフィルムは、プリント時に色補正することができます。ただし、普通の写真店で、タングステン光(約3000K)をデーライト(約5500K)に変換できる技術を持っているところは、ほとんどありません。
 フィルムでの室内撮影は、明るさを補完するだけでなく、色温度を補正する必要があったわけです。太陽光とほぼ同じ色温度のストロボは、この二つの問題を同時に解決できる切り札でした。

 露出のバランスは、ストロボ光だけで適正露出になるようにセットされます。カメラの自動露出機能は、普通はそういう仕組みになっています。
 自然光(室内光)で手ブレするシャッター速度になると、カメラの自動露出機能は、ストロボ撮影に切り替わります。ストロボの光だけで写真が撮れるような設定に、自動的に変更するわけです。

 ストロボ光が届く範囲なら、露出面での失敗はありません。問題なのは、正面から点光源で照明するので、立体感や雰囲気の描写に欠ける結果になることです。

 FUJIFILMから発売されているナチュラというカメラは、同名のNATURA 1600というフィルムを詰めたときだけ、ストロボが不発光になります。演色性の高いISO1600のフィルムなら、色温度の違いは緩和されるので、その場の光だけで撮影して自然な描写を得ようという考え方です。
 結婚式の撮影には、威力を発揮しました。デジタルカメラの高感度化が進んで、いささか影が薄い存在となりましたが、正面からストロボを直焚きすることの味気なさをカバーする画期的な方法といえます。

 ストロボ光だけに頼っていては、雰囲気のある写真は撮れません。デジタルカメラの高感度化・高性能化は、ストロボの新しい使い方を模索するきっかけとなりました。続く・・・
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