2008/03/10(月)魔のシャッター速度

 前回の続き。
 New X700の手ブレ計測器を基準がシビアなモードに切り替えた途端、赤ランプが出まくりです。標準レンズで1/125秒がエラーになるなんて! そんなバカな! アタマにきて、店に並んでいた三脚を借りてテストしてみました。1/125秒で赤ランプです。VelbonのVGB-3というオールアルミのスタンダード型ですから、1/125秒で手ブレ警告というのは、あまりにもシビア過ぎます。
 この機械、壊れてんじゃないの?と疑いましたが、1/250秒から上はグリーンランプです。

 手ブレというのは、許容量の問題です。どんなに速いシャッター速度で切っても、厳密にはブレています。ミノルタの手ブレ計測器は恐るべし・・・ シビアなモードでは、わずかなブレでも検出するようです。
 試しに三脚に付けたまま、1/60秒でシャッターを切ってみました。今度はグリーンランプです。1/125に戻すと、やっぱり赤ランプが点きます。どうなっているのでしょう?

 三脚には「魔のシャッター速度」というのがあります。シャッターを切ったときのカメラの振動と、三脚固有の振動が合致すると、共振してブレるというものです。VGB-3は、1/125秒が「魔のシャッター速度」だったのかもしれません。
 昔(第一次世界大戦のころ)ヨーロッパで、軍隊が整然と隊列を組んで行進していたら橋が崩れた!という話が残っています。この「共振現象」でしょう。兵隊たちは、ビックリしたでしょうね。

 重いカメラと軽いカメラでは、どちらが手ブレしやすいか?なんて論争もありました。重いカメラは低速だとブレやすく、軽いカメラは高速でもブレやすい・・というのが定説です。
 重いカメラは、長い時間保持するのに力が要ります。軽いカメラは、長時間保持するのに、あまり力は要りません。逆に、重いカメラは、短時間に動かそうとすると、力が必要です。軽いカメラは、少しの力で簡単に動かすことができます。単純な話ですね。

 丈夫な大型の三脚だからといって、油断は禁物です。魔のシャッター速度・・なんかバミューダトライアングルみたいですね。バミューダトライポッド・・なんちゃって!

2008/03/09(日)手ブレの計測器

 手ブレの話を続けます。
 昔、手ブレを測る装置がありました。カメラは確かミノルタのNew X700だったと思います。カメラと計測器がケーブルでつながれた特注品で、カメラ店主催のミノルタフェアに行った際、アトラクションに使われていました。

 モードが2つあって、手持ちで測る場合は基準が緩いほうのモードにします。慣れないうちは、標準レンズ(MD50mm/F1.7)で、1/30秒でも時々エラーが出ましたが、だんだんコツがわかってきて、1/15秒、1/8秒・・・とうとう1/2秒でもグリーンランプが点灯するところまできました。慣れてからの成功率は2回に1回くらいでしたかね。
 もちろん、標準レンズを1/2秒で切って、手ブレしないわけがありません。経験から、かなりしっかり構えて1/15秒か、せいぜい1/8秒まででしょうね。

 この計測器は、縦方向のブレしか検出しなかったようです。
 New X700はα7000が出る前の機種ですから、ピントは手動式です。ファインダースクリーンは、マイクロスプリット式で、中央にスプリットの横線が見えます。この線と、被写体の横線を重ねてズレないようにカメラを安定させると、慣れればかなり遅いシャッター速度でも、手ブレ警告が出なくなります。

 横方向のブレは計測してないようですが、手ブレを防止するコツを掴むことができた気がします。ちょうどミノルタの営業所長が表敬訪問に来ていて、1/2秒でグリーンランプがパカパカ点いてるのを見て、目を剥いてましたね。
 この人、業界人には珍しく写真にうるさいタイプで、ムキになって挑戦してましたが、1/4秒どころか1/8秒がやっとでした。勝ったね! でも、1/8秒は大したもんです。「できるな、おぬし!」と、誉めちぎっておきました。

 所詮は機械・・と勝ち誇っていましたが、この計測器には、もうひとつシビアなモードがあって、切り替えた途端に手痛いしっぺ返しを食うことになります。
 以下、次号・・・

2008/03/08(土)手ブレ補正と三脚

 デジタルカメラが普及する前から、手ブレ補正装置はありました。古くは「ジャイロ」という安定装置で、モーターの回転でふらつきを修正するものです。ヘリコプターでの空撮などに使われました。レンズの鏡筒に手ブレ補正機能を組み込んだ交換レンズもありましたね。(いまでもあるか・・・)
 最近のデジタルカメラは、レンズユニットか撮像板を動かして、手ブレを打ち消す方式を採用しています。三脚の出番は少なくなりました。

 手ブレ補正といっても、万能ではありません。どのくらいまで手ブレを防止できるのかは、個人差があって一概にはいえませんが、ある程度の効果はあるようです。
 フィルム式カメラが全盛のころは、35ミリフルサイズ(135)なら、レンズの焦点距離の逆数(200mmなら1/200秒)よりもシャッター速度が遅くなるとブレるといわれていました。広角レンズの28mmは、1/30秒くらいまでならブレずに撮影できることになります。

 ただし、この数値は、「きちんとカメラを構えた場合」という注釈があって、誰にでも適用できる「お墨付き」ではありません。手ブレ補正機能を使うことで、あと2速分(時間で4倍)くらい稼げるようですが、シャッターを押すたびにカメラが傾くようなひとは、そんなわけにはいきません。回転するブレは曲者(クセモノ)ですからね。

 手ブレ補正機能は、カメラメーカーのウリですが、あまり過信しないほうがよいと思います。正しくは「手ブレ軽減」というべきでしょう。「赤目防止」も「赤目軽減」に言い方が変わりました。
 三脚は無用の長物という風潮は、ある意味で危険な匂いがします。
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