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2009年05月15日の記事

2009/05/15(金)フィルムの乳剤番号

 フィルムには有効期限があります。生モノの化学製品だから、時間の経過とともに乳剤の感度が変わります。
 新しいものほど感度が高いと思われがちですが、実際には有効期限に近づくほど感度は高くなる傾向があります。期限が過ぎると徐々に低下していきます。

 カラーフィルムは、RGB各層の感度がバラバラに変化するので、カラーバランスが崩れます。有効期限は、感度だけでなく、カラーバランスも含めて安定した撮影結果が得られる目安です。
 冷蔵保存すれば、この変化を緩く抑えることができます。大量のフィルムを長期にわたって保存するところは、フィルム専用の冷蔵庫を用意していました。有効期限は、絶対的なものではありません。

 有効期限のほかに、エマルジョンナンバー(乳剤番号)の違いによって、発色が微妙に変わります。乳剤番号は、製造ロッドです。
 通常の撮影では、乳剤番号の違いは無視しても構いません。問題になるのは、お中元やお歳暮などのカタログ写真です。同じ色調で揃えるために、同じ乳剤番号のフィルムを用意するのが慣例でした。
 この手の撮影は、いまではほとんどがデジタルだから、もう過去の話ですが・・・

 プロラボから、乳剤番号ごとのフィルター補正値を知らせてきます。CCフィルターで、2.5%程度の補正です。025G+025Cといった具合です。コダックのプロ用リバーサルで商品撮影するときは、このデータが欠かせませんでした。

 海外から輸入するフィルムは、船の経路で発色が変わるという話を聞いたことがあります。アメリカから直行してくる便と、赤道をまたいで豪州を経由してくる便とでは、発色が違うと言います。生モノだから、そういうこともあるでしょうね。
 港に船が着くと、すぐにサンプルを取寄せて、テスト撮影の結果が良好なら、その乳剤番号のフィルムをドンと押えたそうです。
 銀塩全盛時代の思い出話ですね。
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