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2009年05月17日の記事

2009/05/17(日)リバーサルは露光アンダーに?

 日頃リバーサルフィルムを使い慣れていないひとは、職業写真家でもミスをすることがあります。写真館のカメラマンは、普段はネガフィルムしか使わないので、たまに商品撮影でリバーサルを使うときに戸惑うことがあるようです。

 頼まれた商品撮影が露光アンダーで、撮り直ししたカメラマンがいました。インスタントフィルムを使ってテスト撮影までしたのにおかしい・・と納得のいかない顔つきです。

 どうやって撮影したか聞いたら、ストロボ照明で、FUJIFILMのFP100Cを使ってテストし、PROVIA100で撮ったと言います。どちらも公称感度がISO100のフィルムです。
 リバーサルは露光オーバーだと助からないから、露出計の出た目から半段絞りこんで、念のために半絞りステップで3段階露光したとか・・・
 なんで全部露光アンダーなんだ・・とご立腹です。

 露光不足の原因はこうです。
 露光テストするときのFP100Cは、ISO100よりも実効感度は高めにみるのが定石です。スタジオ撮影では、露出計の出た目から半絞り開けるのも定石です。
 この時点で、2/3~1EVの誤差が生じます。
 PROVIA100の実効感度を公称値どおりISO100と見立てたのは、それほど間違いではありません。(ISO80という人もいますが・・) 問題は、リバーサルは露光アンダーぎみに撮るという考え方です。ここで半段絞ったのが致命傷でした。

 適正露出から1EV以上もマイナスしたのでは、半絞りステップで3段階露光しても「適」にはなりません。一番明るい原板でもかなりアンダーだったというから、1.5EVほどズレた値を基準にしたと思われます。

 写真館のカメラマンが、こうした勘違いをする原因のひとつは、証明写真にあると考えられます。当時の証明写真はFPフィルムが主流でした。実効感度が高いので、露出計の出た目で撮っても適正露出に見えます。
 多くの人は、ネガカラーは露光アンダーだと助からない・・という考え方が染みついていて、スタジオ記念写真では、基準値から半絞りほど開けて撮るクセがついています。実質的に出た目から定番補正をして撮ったことになります。

 露出計の出た目が適正露光だと勘違いしているカメラマンは結構いますね。
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