2009/08/19(水)フルサイズの優位性

 デジタル一眼レフの本命を 135フルサイズとしたのは、フィルムカメラに慣れ親しんだ旧タイプ人間の郷愁かもしれません。
 でも、24mm のワイドレンズが、37mm の準広角ではなくて、24mm として使えることに拘るのは、写真愛好家として当然のことだと思います。
 フィルム時代のレンズで、実際にきちんと写るかどうかは、また別の問題です。

 同じ画素数なら、撮像板のサイズが大きいほうが情報量が多く、ダイナミックレンジを広く取れます。
 撮像板の歩留まりが悪い分、価格が高くなるのが難点ですが、不満を抱えたカメラにお金を出すことを思えば、精神的には気が楽です。
 
 135フルサイズのデジタル一眼レフは、今後増えると予想します。
 コスト的な問題から、妥協の産物として登場した APSC サイズのデジイチは、普及機として継続すると思います。フィルムカメラの APS は、短命に終わりましたが、デジカメの APSC フォーマットは、コストパフォーマンスの観点から定着したと言ってよいでしょう。

 往年の名機 オリンパスペンFは、ハーフサイズのフォーマットに泣きましたが、APSC のデジカメはフィルムと違い、画素数を上げることで解像力を上げることができます。
 人間の目で見て、A4サイズ以下で、一見キレイな写真に見える程度の画質でよければ、APSC で1千万画素もあれば十分でしょう。

 フォーサーズは、高画素化が進むと衰退するか、普及機のスペックとして生き残るかのどちらかだと予測します。
 ポケット判(110)程度のフォーマットに何千万画素も詰め込んで、画像処理で誤魔化し通すのは、無理な話だと思います。パナソニックやオリンパスは、いずれ方向転換を余儀なくされるのでは?

 オリンパスペンE-P1は、予想に反して売れ行き好調のようですが、最後はマイクロフォーサーズに泣くことになるような気がします。フォーマットサイズがハンディになるのは、ペン・シリーズの宿命でしょうか?
 結果を見越して「ペン」の名前をつけた?・・それは悪い冗談です。

2009/08/18(火)プリンターのビット数

 デジタル一眼レフに高いスペックを求めても、出力するモニターやプリンターがお粗末では意味がありません。
 パソコンのモニターは8ビットだし、プリンターも8ビットです。カメラの画像データが 14bit RAW であっても、すべての情報が反映されないことになります。

 うちのテレビは 24bitカラーだ!という声が出そうですが、RGB 各色 8bit でサンパ24ということです。家電品の表示は誇大だから、惑わされないようにしないと・・・
 一般的にパソコンモニターの解像度は、72dpi です。粗いですね。

 インクジェットプリンターは RGB 各色 8bit で、おおむね 300dpi の密度でプリントします。少し前のプリンターのカタログには、1200dpi とか 2400dpi などの数字が書いてありましたが、インクの数で割ると 300dpi になる機種が多いはずです。あのころは、各色 8bit だと 300dpiはなかったのでは?
 最近では、インクの粒の大きさを変えるなどして、高画質なプリントが得られる機種が増えました。「最高9600dpi」とか「5760x1440dpi」という数字が、各色8bitだと実質的に何dpiなのか、判断に苦しみますが、おおむね 300dpi 程度でしょう。

 プリント出力には、インクジェットプリンターのほかに、銀塩プリンターがあります。銀塩プリンターも基本的には RGB各色 8bit(24bitカラー)です。解像度は 300dpi が主流です。なかには 320dpi と 640dpi を切り替えられる機種もあります。
 300dpi あれば人間の目ではアナログ写真と同等とされていますが、細かい文字では輪郭が甘く感じます。ポストカードなどをプリントするときは、500dpi 以上あったほうが文字が鮮明に見えます。

 自宅や会社のパソコンで、写真を見たりプリントしたりするぶんには、あまり高いスペックのデジイチは必要なさそうです。意味のないスペックに余分なお金を出すよりも、交換レンズや外付けストロボに投資したほうが、写真が楽しめます。
 デジイチを買うなら 135フルという結論は、写真愛好家の単なる自己満足でしょうか?

2009/08/17(月)A/D変換のビット数

 デジタル一眼レフの性能を比較検討する場合、撮像板のサイズや画素数のほかに、A/D変換のビット数がいくつか?という問題があります。
 A/D変換とは、撮像板が受けた光のアナログ(A)情報をデジタル(D)データに変換することです。ビット数が多いほど多諧調になります。

 現在、ニコン・キヤノンでは、上位機種は 14bit、普及機は 12bit という振り分けになっているようです。これを以って、14bitが高画質の必須条件だとする見方があります。
 ソニーα 900 のカタログを見る限りでは、A/D変換が何ビットかは書かれていませんが、CMOSのプレスリリースでは 12bit となっています。α 900 は、他社の14bit機よりも劣るのでしょうか?

 ミノルタが2003年に出したレンズ固定式の一眼レフ DiMAGE A1 や、同じ年に発表されたフジフィルムの CCDハニカムSRも 14bit A/D変換を採用しています。
 JPEGデータは 8bitだから、8bit以上にしても意味がないというのは極論です。8bitのJPEGデータをある程度の画質でまとめるためには、12bit 程度に A/D変換しておく必要があります。12bit と 14bit でどのくらいの差が出るか?ですね。

 A/D変換のビット数が増えることと、ダイナミックレンジが広がることとはイコールではありませんが、広げるのに有利なのは間違いないようです。
 ただし、単純にビット数を上げればいいという問題でもなさそうです。アナログ回路の S/N比や A/D変換器の性能など、数値だけでは比較できない要素が絡んできます。連射速度やデータ処理の時間にも影響します。もちろんコストにも!

 α 900 の CMOS は、列並列A/D変換方式の採用で、高S/N比と高速読み出しを実現したとされています。135フルサイズで 2460万画素のスペックなら、無理して 14bit にする必要はないということかもしれません。
 ニコンの D3X みたいな価格だったら、とても手が出せないし・・・

 画素数や連射速度に比べて、A/D変換は一般ユーザーにわかりにくい概念です。撮像板の性能を上げるためには、それに付随する処理回路の進化が求められます。
 願わくば、動画機能よりもスチール写真の高画質化を念頭に、今後の開発を進めてもらいたいですね。
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