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2011年06月10日の記事

2011/06/10(金)普及しなかったステレオ写真

 写真を立体的に見る方法は、ずいぶん昔からありました。ステレオ写真とか立体写真とか言われてきましたが、いまでいう 3D とは少し趣が異なります。
 一番の違いは写真が2枚あることです。右眼用と左眼用の画像が横並びになっています。そのままでは、似たような写真が並んでいるだけですが・・・

 2枚並んだ画を1枚の写真として見るのには、少しコツが要ります。左側の画が右眼用、右側の画が左眼用であれば、交差法という見方をします。顔前で視線をクロスさせるわけです。寄り眼で物を見るのに慣れが必要です。

 左は左眼、右は右眼の画の場合は、平行法という見方をします。2枚の写真の間に紙などで衝立を立てれば、比較的簡単に立体視できます。ステレオ写真用のメガネスコープは、この方式が多いようです。

 本来2次元である写真を立体的に見たいという願望は、昔から強かったみたいで、ステレオ写真を撮るための専用カメラがありました。レンズが二つ並んで付いているカメラです。
 フィルムは 135 規格ですが、画面サイズは何種類かありました。天地は 24mm で共通です。横幅が 23mm×2、30mm×2、18mm×2 が一般的です。ハーフサイズを2コマ使ったものは、フルサイズと同じ枚数が撮れました。ただし画面はすべて縦位置になります。

 この原理を応用し、ハーフ判やスクエア判のカメラを2台並べて撮っている人もいました。ダブルレリーズを使えば、ほぼ同時にシャッターが切れます。それとも、「せーの」で同時に2本のレリーズを押すかです。
 プリントを2枚横に並べて観賞します。フルサイズの横位置でもいけそうですが、人間の視野が横に広いのは、眼が二つ並んでいるからです。横長の写真を2枚並べて立体視するのは無理があります。

 撮影に特殊な機材が要るのと、プリントを見るのにコツが必要だったせいか、ステレオ写真は一般には普及しませんでした。それでも少数ながら愛好家はいます。それ専門に収集しているコレクターもいるくらいです。
 3D は、いつの時代でも人間の願望を代表する、永遠のテーマなんでしょうね。
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