2010/09/05(日)常用フィルムはISO 200?
それを ISO 400 に引き上げようという動きがありました。カメラブレが少ない、ストロボの光が遠くまで届く・・などが謳い文句でした。
確かにそれは言えていますが、感材メーカーの本音は、付加価値をつけて売上利益のアップを図ることでした。販売奨励金を出してでも「400 比率」を上げたほうが得策・・という判断です。
業界こぞって ISO 400 のネガカラーを勧めた結果、日本国内では ISO 400 が主流になりました。
「日本国内では」と注釈をつけたのは、実は欧米では ISO 200 のフィルムを拡販していたからです。価格と性能のバランス感覚に鋭い欧米では、ISO 400 は割高と見る傾向がありました。プリントサイズの主流がハガキ判で、粒状性の問題もあったようです。
もうひとつの要因は、エリアごとの棲み分けです。逆輸入品の横行で、当時メーカーは苦戦を強いられていました。輸出の主力を ISO 200 にすることで、国内で主流の ISO 400 の市場を守りたいとの思惑がありました。
カラーフィルムは、出荷する国によって乳剤が異なります。白色人種の多い欧米向けと、黄色人種の国内向けでは、発色を変えていました。感度で棲み分けできれば、製品管理が合理化できます。
欧米人の ISO 200 志向は、国内感材メーカーにとっては「渡りに舟」「一石二鳥」だったわけです。
こうした地域事情やメーカーの思惑が絡みあって、世界的には ISO 200 が常用感度になりました。デジカメの高感度化で、撮像素子の基準感度が ISO 200 になっても、欧米市場では抵抗感は少ないと思います。
感材メーカーが敷いたレールの上を いまはカメラ・家電メーカーが走っています。