2010/09/06(月)デジカメの価値観

 銀塩時代には、コンパクトカメラと一眼レフは、同じサイズのフィルムを使っていました。大半が 135 フルサイズです。違いは、カメラとレンズのハード部分です。リバーサルフィルムが使えるかどうかも、ハード側の露出精度の問題でした。
 本格的に写真を楽しもうとすれば、一眼レフを使うのが常識でした。「一眼」信奉は、銀塩時代のなごりです。

 コンパクトカメラに近いデザインで、レンズ交換のできる機種がありました。筆頭はライカMシリーズです。ほかに CONTAX-G シリーズなどがありました。
 ミラーボックスがないので、近接撮影のときにパララックス(画面ズレ)が出ますが、レンズがよかったので写りは一眼レフと同等でした。とくに広角レンズは、レトロフォーカスの一眼レフ用よりも優秀とされていました。
 しかし、一般に広く普及することはありませんでした。価格が高かったこともあり、一部の愛好家に使用されていただけです。

 デジタル式になって最近ようやく、ミラーのないレンズ交換式カメラが注目されるようになりました。ライブビュー機能で、パララックスの問題はなくなりました。小型軽量が受けたようです。
 火付け役は、OLYMPUS-PEN シリーズでした。撮像素子のフォーマットは、マイクロフォーサーズです。マウントアダプターを介して EOS や CONTAX の交換レンズが使えることも評判になりました。ミラーがない分、フランジバックを短く取れたからです。

 3ヶ月ほど前に発売された SONY NEX シリーズは、APSC サイズの撮像素子を採用しています。普及型デジタル一眼レフと同じフォーマットサイズです。
 交換レンズは、まだ2本(間もなく3本)ですが、売れ行きは好調のようです。マウントアダプターでα用の交換レンズが装着できます。

 こうしたミラーレスの「一眼」は、レンジファインダー式カメラの流れを汲むものと言ってもいいでしょう。フィルム時代との違いは、パララックスがないことと、価格が普及型一眼レフ並に下がったことです。
 ライカ M9 だけは、フィルム時代のMシリーズのスタイルを貫いています。ボディーの価格は 70 数万円。もしライブビューや動画機能がついていたら・・・ ライカファンからの支持は得られなかったでしょうね。
 カメラに対する価値観は、人それぞれです。

2010/09/05(日)常用フィルムはISO 200?

 銀塩全盛時代のフィルムの常用感度は、長い間 ISO 100 でした。モノクロはネオパン SS、カラーは FUJICOLOR N100 以来です。
 それを ISO 400 に引き上げようという動きがありました。カメラブレが少ない、ストロボの光が遠くまで届く・・などが謳い文句でした。

 確かにそれは言えていますが、感材メーカーの本音は、付加価値をつけて売上利益のアップを図ることでした。販売奨励金を出してでも「400 比率」を上げたほうが得策・・という判断です。
 業界こぞって ISO 400 のネガカラーを勧めた結果、日本国内では ISO 400 が主流になりました。

 「日本国内では」と注釈をつけたのは、実は欧米では ISO 200 のフィルムを拡販していたからです。価格と性能のバランス感覚に鋭い欧米では、ISO 400 は割高と見る傾向がありました。プリントサイズの主流がハガキ判で、粒状性の問題もあったようです。

 もうひとつの要因は、エリアごとの棲み分けです。逆輸入品の横行で、当時メーカーは苦戦を強いられていました。輸出の主力を ISO 200 にすることで、国内で主流の ISO 400 の市場を守りたいとの思惑がありました。

 カラーフィルムは、出荷する国によって乳剤が異なります。白色人種の多い欧米向けと、黄色人種の国内向けでは、発色を変えていました。感度で棲み分けできれば、製品管理が合理化できます。
 欧米人の ISO 200 志向は、国内感材メーカーにとっては「渡りに舟」「一石二鳥」だったわけです。

 こうした地域事情やメーカーの思惑が絡みあって、世界的には ISO 200 が常用感度になりました。デジカメの高感度化で、撮像素子の基準感度が ISO 200 になっても、欧米市場では抵抗感は少ないと思います。
 感材メーカーが敷いたレールの上を いまはカメラ・家電メーカーが走っています。

2010/09/04(土)低感度はどこまで必要?

 大口径レンズを絞り開放で撮る場合は、シャッター速度と感度で露出をコントロールすることになります。室内の定常光なら問題はないのですが、日昼ピーカンの屋外では不都合が生じます。

 仮に、日昼の露出が ISO100 で 1/250 秒・F11 だったとして、85mm F1.4 を絞り開放で撮るときのシャッター速度は、1/16000 秒となります。
 Nikon D700 クラスのデジイチでも最高速度は 1/8000 秒だから、露光オーバーとなります。では、ISO 感度を下げればいいかというと、D700 は最低感度が ISO 100 です。しかも基準感度の ISO 200 を強制的に下げて設定します。

 こんなド・ピーカンの情況で、F1.4 で撮影することは稀ですが、水着のモデル撮影だったらどうでしょうか?
 水着の広告写真を真夏に撮影することはありませんが、アマチュアの撮影会ならあり得ます。日向の露出は、ISO100・F1.4 で 1/32000 秒 前後でしょう。2段オーバーです。

 こんな情況はめったにないから、ISO 25 まで必要というのは、少々強引な結論です。露出倍数4倍(2段)の ND か、PL フィルターを持っていれば、ISO 100 でも凌げます。極限状態で撮ることはまずないだろうし・・・
 でも、最低感度が ISO 200 というのは、ちょっと高いような気がします。通常の撮影には支障はないでしょうが・・・

 一般ユーザーの関心が、高感度のほうに向いている情況では、低感度側を犠牲にするのは仕方ないかもしれません。ISO 25 や ISO 50 に魅力を感じる人よりも、ISO 6400 や ISO 12800 に魅力を感じる人のほうが多いはずです。
 いま話題のミラーレス「一眼」 SONY NEX シリーズは、最低感度が ISO 200 でしたね。ちなみに最高速度は 1/4000 秒です。F2.8 のパンケーキレンズなら、これでいいのかも?
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