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2009年06月01日の記事

2009/06/01(月)結婚式の「輸出」

 日本のブライダル業者が、海外へ進出する動きがあります。成長著しい中国は、衰退傾向の国内と違って魅力のある市場のようです。

 たまにテレビの特番でも紹介されます。日本式の披露宴は、リッチな階層にはウケがいいという話です。あらたまった席にゲストを招いて、豪勢にもてなすのが新鮮なんだと思います。

 昔、台湾に行ったときに現地のガイドがこんな話をしていました。
 女の子が生まれると、招興酒を仕込んで庭に埋める習慣があります。その子が結婚するときに掘り出して、客に振舞うためです。たまたま晩婚だったら、「この酒はよく熟成していて美味い!」と、酒をめでるのが礼儀だとか・・・
 吉凶禍福世としてこれなきはなし・・人生すべて塞翁が馬・・歴史と文化のある民族は おおらかですね。

 近隣皆こぞって結婚を祝福する・・そんな風習が残っている国へ、ビジネス化された日本式の披露宴を「輸出」するのは、どうかという気がします。
 経済が急発展した影響で、貧富の差が拡大しています。富裕層は、先進国の真似をしたい気持ちが強いから、それをアテこんでいるのでしょうが、古きよき風習が廃れていくのは残念です。

 日本の結婚式がいまの形になったのは、そんなに古い話ではないようです。互助会をはじめ、ブライダル専門の式場が登場してからだと言います。新たに刊行されたゼクシィを筆頭に、ブライダル誌がこぞって特集を組み、式場間の競争を煽りました。

 かつては3年ほど続いた新規オープンの魅力は、いまでは1年程度だと言います。誰かが利用したら、その周りの人達の間では、もう終わりなんだとか…
 結婚式場も使い捨ての時代です。絶えず改装してリニューアルしないとお客を獲得することができません。短期間に元手を回収しなければならないので、料金は高くなります。悪循環ですね。

 結婚を皆で祝福するという原点に立って、消費者自身が考え方を変えない限り、虚飾のブライダル市場は変わらないと思います。
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