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2010年08月06日の記事

2010/08/06(金)レンズの収差と星像

 天体星夜写真を撮っていて痛切に感じるのは、レンズには収差があることです。通常の風景や人物撮影では無視して構わない程度の収差でも、天体写真では致命傷になります。相手が「点」だからです。

 赤道儀を持っていなかったときには、三脚にカメラを固定して撮影していました。地球は自転しているので、あまり長い時間露光していると、星が動いて線になります。
 赤緯にもよりますが、標準レンズで 20~30 秒が限度です。より暗い星を写すために、レンズの絞りは開放にします。

 ところが、画面の周辺では、星が点になりません。明るい星だと蝶が羽を広げたように変形して写ります。非点収差やコマ収差です。色がにじんでいるのは色収差です。
 絞りを絞れば緩和されますが、それでは暗い星が写らないというジレンマに陥ります。せっかく明るいレンズを買ったのに・・・

 使っていたのは、タクマー 50mm F1.4 です。F1.8 と迷いましたが、先輩の勧めでこちらにしました。この先輩は、カメラについてはエキスパートでしたが、星については門外漢です。周りに天体写真をやっている人がいなかったのは不運でした。

 星の写真を撮るなら、50mm F1.4 ではなくて、F1.8 や F1.7 のほうが向いています。当時の Nikkor なら F2 ですね。F1.2 はクソ高いだけで、ほとんど役に立たないというのが定説です。

 赤道儀を手に入れてからは、F2.8~F4 程度に絞り、日周運動に合わせて長時間露光して撮影しました。収差が修まり、周辺光量の低下も緩和されて、画面の隅まできちんと写ります。

 写真部の連中は、どうやったら撮れるのか不思議でならなかったみたいです。星は開放で撮るものと思い込んでいたからでしょう。
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