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2010年08月09日の記事

2010/08/09(月)北極星は少しズレている

 赤道儀を据えるときは、赤経軸を天の北極に向けます。北緯 35 度なら、真北に仰角 35 度です。目印は北極星ですね。
 ところが、北極星は天の北極から少しズレています。角度にして約 0.6 度です。1度未満だから、眼視観測なら無視してもいい誤差ですが、星野写真の撮影となると、不都合が生じます。

 星野写真儀には、極軸望遠鏡というものが内蔵されています。赤緯軸の中心が小型の望遠鏡になっていて、中心から少しずらしたところに北極星を持ってくる構造です。
 北極星は1日に約1回転するから、日時から方角を割り出します。専用の目盛環がないタイプだと、この時角計算が結構やっかいです。付近の暗い星までマークしたレチクルを極軸望遠鏡の中に表示して、実物と重ね合わせる方式もありますが、空が暗い場所でないと使えません。

 極軸望遠鏡が普及する前は、別の方法で天の北極を探していました。
 まず、水平に設置した望遠鏡の赤緯を 90 度に固定し、北極星が視野内に入るように赤経軸の仰角を合わせます。これで大雑把ですが真北を向いたことになります。
 次に、南天中空の明るい星を視野内に入れ、南北どちらにズレるかを見ます。上(実際には南)にズレるようなら西方向へ、下(実際には北)にズレるようなら東方向へ修整します。(逆は誤差が増大するのですぐ気がつきます)

 これを繰り返すことで、かなり正確に真北に合わせることができます。方位磁石を併用すれば、北極星が見えない場所でも天の北極に合わせることが可能です。

 赤緯(緯度)の微調整は少しやっかいです。自動追尾のモーターが装備されていれば、南東か南西の星を使って、ズレる方向で修整します。手動ではある程度勘に頼ることになります。
 ズレる方向は東西です。クラッチ機能がなく微動装置が使えない場合は、きっちり合わせておく必要があります。

 星の写真撮影は、たかが星、されど星ですね。
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