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2011年03月08日の記事

2011/03/08(火)光学製品のまやかし

 市販の天体望遠鏡の性能表示は、屈折式(レンズ)か反射式(鏡)かのほかに、極限等級や分解能などが数値で書かれています。口径 100mm のものは、3万円のものでも 10 万円のものでも同じ数値です。
 どこか変ですね。表示されているのは、あくまで理論値で、実際にきちんと見えるかどうかは別の話です。

 一般消費者が望遠鏡を買うときに基準にしているのは、口径よりも倍率みたいです。何百倍まで拡大できるかで機種選定している人が多いと思います。
 倍率は、[主レンズの焦点距離]÷[接眼レンズの焦点距離]で求められます。接眼レンズの焦点距離を短くすれば、小口径のものでも高倍率が得られます。ただし、一定の倍率を超えると、次第に暗くなってボケていきます。

 一般的に、倍率の限度は主口径(mm)と同数とされています。口径 60mm の望遠鏡なら 60 倍が限度ということになります。
 実際には、木星や土星など明るい惑星では、多少ぼやけてもいいから大きく見たいときがあります。口径(mm)の2倍程度までを有効倍率とするのが普通です。60mm なら 120 倍までです。

 ところが市販の望遠鏡は、バローレンズなどを併用して、口径 60mm の望遠鏡でも 200 倍以上の表示をしています。もうボケボケですね。
 では、高倍率にするために、口径が大きいものにすればいいかというと、今度は精度の問題が出てきます。安物の望遠鏡に手を出すとハマリます。

 双眼鏡でも事情は同じです。さすがに有効倍率を超えるようなものはありませんが、高倍率のものは手持ちではブレて見られません。申し訳に、安物の三脚とセットにして売っているのは、まだマシなほうかもしれませんが・・・

 双眼鏡で一番ごまかしが利くのは、外から見えないプリズムです。ツァイス型の三角プリズムだと、対物レンズをカバーしない小さなものを使っている製品が多く出回っています。手に持ったときに見た目よりも軽く感じたらこれですね。
 ガラスにも種類があるし、光学製品を買うときには、ある程度の基礎知識が必要です。
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