2011/03/09(水)小口径でも高性能
天体観測は極限の状態で使うから、光学系の良し悪しや精度の違いで見え味が変わります。大口径になるほど精度が出しにくいので、小口径のほうがシャープできれいに見えることがあります。ただし、倍率を限度内に抑えれば・・の話です。
PENTAX の天体望遠鏡は、既に販売終了になっていますが、性能には定評がありました。とくに 75ED-HF は、小口径ながら抜群の見え味でした。口径 75mm 焦点距離 500mm の屈折式です。
当時の屈折式は、2枚合せのアクロマートか、3枚合せのアポクロマートかという分類でした。アポのほうが色収差が抑えられています。
75ED-HF は、カメラメーカーらしく、特殊低分散ガラス(ED)を採用していました。F6.67 と明るい割に、色収差がほとんどないのが特長でした。
並の口径 100mm 超の望遠鏡よりもよく見えました。しかも 500mm の望遠レンズとしても使えました。一般的に、眼視用と撮影用では、求められる性能が違います。二刀流でいけたのも人気の理由でした。
後に発売された 100ED-UF は、口径 100mm 焦点距離 400mm でした。明るさは F4 です。ずんぐりした形から「ツチノコ」の愛称で呼ばれていました。
こちらはもっぱら撮影用です。イメージサークルが大きかったので、中判カメラの望遠レンズとしても使われたようです。ただし絞りは開放のままです。
最終モデル 75ED-HFⅡ は、2年ほど前に製造をやめましたが、いまでは各社から特殊低分散ガラスを使った望遠鏡が販売されています。
屈折式を買うなら、小口径でもこのタイプがお奨めです。