頼まれた撮影でなければ、単焦点レンズを1本だけ持って行くと傑作が撮れる確率が高くなります。カメラをぶら下げて散歩がてらの撮影行には、お奨めの方法です。
いい被写体を見つけても、ほかにレンズはないから、手持ちのレンズで撮れる被写体以外は諦めるしかありません。これがいい刺激になります。
撮影を続けていると、自然とそのレンズの目になってきます。普段なら見逃していたような切り口の写真が撮れるかもしれません。諦める被写体がある代わりに、新しい発見が期待できます。
とくに超ワイドや超望遠を使いこなすのには、こうした訓練が有効です。
ズームレンズは便利な反面、写真をダメにする元凶でもあります。自分が動かずにズームリングを回して画面をまとめてしまう弊害があるからです。
「今日は 28mm 以外は使わないぞ!」と誓ったところで、禁煙願望の人のポケットにタバコが入っているのと同じです。訓練には単焦点が一番です。
個性的なレンズを手に入れたときは、それ1本だけ持っての撮影行をお奨めします。ホロゴン 16mm F8 とか、レフレックス 500mm F8 なんかは、他の汎用レンズと一緒に持って行ったら、出番がない可能性が大です。
とくに超望遠レンズは 500mm 以上になると、一般的な人間の視覚を超えた写角になります。500mm に慣れたら、次はテレコン付で挑戦してみるといいでしょう。
PENTAX AF17-28mm 魚眼ズームは、単焦点ではありませんが、やはりこれ1本だけに絞らないと、いつまで経っても使い道のないレンズになりがちです。
フィッシュアイ独特のディストーションに慣れるには、多少の時間が必要です。それと同時に、何でも湾曲させれば作品ぽくなるという落とし穴から、早く脱却できます。