2012/02/16(木)超高速のストロボ
ニコン F2 が登場したときは、最高速度 1/2000 秒がモノを言いました。いかにもフラッグシップ機といったスペックです。当時の一眼レフは、1/1000 秒どまりでした。
最高速度だけでなく、1秒以上のスローシャッターが切れたのも高級機らしい特長です。セルフタイマーと併用して2秒から最長 10 秒まで露光時間がセットできました。
電子式シャッターが登場してからは、なんてことはないスペックですが、機械式シャッターの時代には画期的なことでした。
時代が進んでも、カメラ側で制御できるのは、1/8000 秒程度です。しかもフォーカルプレーンシャッターは、スリットが通り過ぎる時間でしかありません。 それ以上の高速を得る場合はストロボの光を使います。
小型のオートストロボは、最も少ない光量で発光するときの閃光時間が 1/20000 秒くらいだと言われています。落とした滴が王冠形になるミルククラウンの写真は、ストロボで撮影しています。
では、スタジオ用のストロボでも光量を絞ればミルククラウンが撮れるかというと、答えはノーです。電圧制御方式のストロボは、光量を落としても閃光時間は同じです。
コンデンサー制御のストロボは、閃光時間が短くなりますが、小型ストロボほど速くはなりません。小型ストロボは全力発光でも 1/1000 秒くらいの高速で光ります。業務用のストロボは、閃光のピークが 1/300 秒程度で、実際にはこの3倍くらい長く光り続けているみたいです。
業務用ストロボで、ミルククラウンが撮れる可能性があるのは、シリーズカット調光を採用している機種に限られます。コマーシャルフォトでは、水槽に商品を落とした瞬間の静止画像が使われました。
そこまでの高速を要求しないとしても、踊っているモデルや動き回る子供の撮影で、被写体ブレが防げるのは、シリーズカット調光の利点です。