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2012年02月27日の記事

2012/02/27(月)デジカメで針穴写真

 高校を出るまで住んでいた実家は、南側の雨戸が戸板で、節の抜けた穴から差し込む光が、すりガラスに外の景色を投影していました。朝目覚めたときに、すりガラスのあちこちに、逆さまになった景色が映る様は、幼心に不思議に感じたものです。

 投影像は光の直進性によるものです。光が小さな穴を通るとき、レンズがなくても像を投影する仕組を利用して作られたのが、初期のカメラ・オブスクラでした。遠近感が自然で、画家が写生のときに使っていたと言われています。
 光や音など波の性質があるものは、小さい穴を通るとき回り込む性質があります。回折現象です。ピンホールの画像が甘いのは、この性質も影響していると考えられます。

 ピンホールカメラ(針穴写真機)には、レンズと違って焦点という概念はありません。ピント面がないのです。穴を大きくすれば明るくなる代わりに像は甘くなります。穴を小さくすれば暗くなって像がはっきりしてきますが、お世辞にもシャープな画像とは言えないレベルです。
 穴の大きさと投影面までの距離には、一定の法則があって、距離が近くなるほどピンホールの直径を小さくしないと、像が甘くなります。

 ミラーレス機の登場で、パンケーキレンズがもてはやされていますが、究極のパンケーキはピンホールではないかと思います。ボディーキャップに針穴をあければ、画像が写ります。
 昔、PENTAX SP のボディーキャップに針穴をあけて、使っていました。レンズがない状態でもファインダーを覗けば景色が見えます。
 135 SLR のフランジバックだと、穴の直径は 0.3mm 以下にしないとボケボケになります。ボディーキャップのセンターをドリルで削って薄くし、最後に針で突いて小さな穴をあけます。この最後のプチッ!がキモでした。

 当時のフィルム感度では、手持ちの撮影は無理でした。最近の高感度化したデジカメなら、手持ちでも何とか撮れそうです。画質を云々するレベルの画像ではないから、思いっきり最高感度でいけばいいでしょう。
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