2009/10/19(月)写真館のデジイチ

 富士のS5proが伸び悩んだのは、頼みの綱の業務用需要を押えきれなかったからだと思います。一般ユーザーでS5proを買いそうな層は、モデル撮影会に通い詰めているアドアマくらいです。全国の写真館が他社機に分散したのが響きました。

 以前、マミヤの人に会ったときは、「ニコン・キヤノンのフルサイズ機で済ますところが多い」と嘆いてました。「ま、これでいいか・・」というレベルの写真館が多いと言います。中判のデジタル機は苦戦していました。
 ダイナミックレンジの広いハニカムCCDといえども、S5proはAPSC機です。フルサイズに流れる気持ちはよくわかります。

 ニコン・キヤノンのデジイチは、一般ユーザーに普及しています。客から、「お父さんのカメラと一緒」と言われる確率が高くなります。S5proはニコン製でもヘッドのロゴは「FUJIFILM」だから、そういうケースはまずないはずです。
 フルサイズのデジイチを持っている人は少ないし、仮に同じ機種だとわかったとしても、軽く見られることはないかもしれませんが・・・

 さすがに普及機のデジイチでスタジオ写真を撮っている写真館は、ほとんどないと思います。Kissクラスだったら、「お母さんのと一緒」と言われてしまいます。これでは、お金はもらえません。

 聞いた話ですが、全国ネットの子供写真館では、撮影用のカメラを特殊な箱の中に入れて、機種名がわからないようにしているそうです。中味が市販のデジタルカメラであることを知られたくないんでしょうね。
 デジタル化を始めたころは、富士のS3proだったとか・・・ 箱に入れて隠すところをみると、ニコンかキヤノンに乗り換えてたりして・・・(まさかKissではないと思いますが)

 デジカメの普及で、一般ユーザーの写真画質の評価基準が変わってきました。デジタル写真を見慣れてきたせいでしょう。カメラの高画素化とラボの衰退によって、写真館のフィルムからデジタルへの転換は急速に進んでいます。

2009/10/18(日)FUJINON交換レンズ

 FUJIFILMとニコンの合作で世に出た FinePix S5proが製造中止になって、継続が危ぶまれています。富士は不採算部門のデジイチから撤退するのでしょうか?

 富士のデジイチが採算的に苦しいのは、シェアの問題だけではありません。自社に135SLR用の交換レンズがないことも影響していると思います。
 フィルム時代には、富士も135判の一眼レフを出していました。交換レンズを作る力は持っています。海外輸出が主だったようですが、国内で受け入れられなかったからでしょう。富士は消費者の目から見れば、あくまで感光材料メーカーです。

 感材では国内トップメーカーでも、一眼レフはカメラメーカーに太刀打ちできませんでした。「カメラをやめればいいのに・・」という声も聞かれました。「フィルムだけ作っていればいい」というのが、カメラメーカーの本音だったようです。
 デジカメの時代になって、「いままでは感材メーカーのためにカメラを作っていたようなものだが、これからは自分のために作る」と豪語したメーカーがいます。キヤノンです。写真のデジタル化は、プリンター事業の追い風になりました。

 業態は違っても富士とニコンには共通点がありました。大判カメラのレンズを作っていたことです。どちらもカメラは製造せずに、レンズだけを供給していました。
 ニコンは、すでに大判レンズの製造を打ち切っています。引伸機用のレンズもやめました。富士は、大判レンズと引伸機レンズの供給を継続しています。共倒れを避けるために、協議のうえ棲み分けしたものと推察します。
 どちらが「貧乏くじ」だったかは別問題ですが・・・

 富士がマイクロフォーサーズへ参入・・という噂があります。シェアアップが見込めない135/APSCデジイチよりも、フォーサーズやマイクロ4/3のほうが事業収益が見込めそうです。
 もしそうなったら、FUJINONブランドの交換レンズを出してくるのは間違いないでしょう。

2009/10/17(土)FUJIFILMのデジイチ

 FUJIFILMのS5proが、製造中止となりました。スーパーCCDハニカムを搭載した、富士では唯一のレンズ交換式デジタル一眼レフです。
 ダイナミックレンジが広いのが特長で、スタジオでの人物撮影によく使われています。有効画素数1234万画素をS画素617万、R画素617万に分けて合成することで、フィルム並のダイナミックレンジを実現しました。

 ボディーは、Nikon D200がベースです。Fマウントなので、レンズはニッコールかサードパーティーのニコンマウントを使います。FUJIFILM独自の部分は、ハニカムCCDということになります。(電池が専用なのはノッチの位置が違うだけ)
 画素数を半分にしてダイナミックレンジを広げるやり方は、FUJIFILMの特許のようで、他社はこの方法が使えません。画素数を半分に落としたら、残りの半分の情報は捨てることになります。

 富士にとって、デジタル一眼レフは不採算部門です。S5proの製造中止と同時に、S6proのアナウンスがなかったところをみると、どうやら後継機のメドは立ってないみたいですね。
 次期モデルにフルサイズを望む声があるなかで、D700ベースのハニカム機が出るかどうかは不透明です。

 デジタルカメラを製造しているメーカーの多くは、撮像板を他社から買っています。ニコンも例外ではありません。D3XのCMOSは SONY製でしょうね。α900のCMOSとは仕様を変えているのが、いかにもニコンらしい拘りですが・・・
 コダックは、以前はデジイチのボディーを出していましたが、現在は撮像板を供給する形に変えました。そのほうがビジネスとして収益が上がるからです。

 富士もコダックに倣い、ハニカムCCDをニコンに提供して、自社ブランドでの供給をやめたほうが得策かもしれません。ついでに、ダブル画素でダイナミックレンジを広げる特許も提供してくれると、世のため人のためになると思いますが・・・
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