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2012年01月26日の記事

2012/01/26(木)濡れ手に泡だった銀塩写真

 いまでも写真業界の人と会うたびに、業界衰退の話が出ます。「見るも無残」とか「惨憺たる状況」とか、ここ何年かズーッと暗い話ばかりです。どこかに花の咲くような明るい話はないものかしら・・・

 その一方で、写真がデジタル化されたことで、一儲けした人がいます。それまで現像・焼付手段を持たなかった撮影畑の人たちです。
 フィルム代や現像料がなくなったことで、コストが大幅に削減されました。プリントの内製化で、こちらもコストダウンです。子供写真館に転進したある写真屋の駐車場には、自家用の高級車が何台も停めてあったとか・・・

 片や DPE で食べていた写真屋で、いまでも元気なところはほとんどありません。どこも寂れた感じです。既に廃業してしまった店のほうが圧倒的に多い状況です。
 こうしてみると、写真のデジタル化で衰退傾向にあるのは、銀塩写真(とくに現像プロセス)に関わっていた分野であることがわかります。明治維新後の武士階級みたいなもんですね。
 ということは、さしずめコダックは徳川家ですか・・・

 アカデミー賞の授与式は、ブロードウェイにあるコダック・シアターが定番会場です。2001 年に完成し、翌年から毎年使われてきました。コダックは命名権を買っているだけですが、これも今後どうなるのか予断を許さない状況です。
 それにしても 7500 万ドルも出して命名権を買うなんて、まだ当時は羽振りが良かったんですね。

 人は一度でも濡れ手に泡でぼろ儲けをしてしまうと、そこからなかなか脱却できないのが世の常です。これから伸びるとわかっていても、儲けの薄いデジタル部門よりは、高収益の銀塩部門のほうが魅力的だったんでしょうね。
 最後は溶けてなくなるのに・・・ ひょっとすると、完全にはなくならないと思っていたのかも?
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