2011/10/04(火)パノラマ写真の雲台

 フィルム時代のパノラマモードは、上下をカットして横長の画面にしただけのものでした。フルサイズの原板からプリントしても左右の広がりは一緒です。インチキパノラマですね。

 最近のデジカメには、カメラを横に振るだけで、広い画面が撮影できる機種があります。ソニーのキャッチコピーは、「サッとひとふり”スイングパノラマ”」です。本当に手持ちでカメラを振るだけで撮れるのでしょうか?
 専用サイトのサンプル写真を見た限りでは、一応それらしく写っていました。失敗例は掲載されていませんでしたが、いつもうまくいくとは限らないようです。

 そういう機能のないカメラで、パノラマ写真を撮る場合は、普通は三脚を使います。カメラを水平にしておいて、画面を横方向に回転させて何カットか撮影し、後でつなぎます。
 広く撮ろうと欲張って、超ワイドレンズを使うと、つなぎ目が不自然になります。遠近感が人間の目に近い標準レンズで、画面をダブらせて撮るのがコツです。

 本格的にパノラマ写真を撮る場合は、カメラを縦位置に構えるのが一般的なやり方です。天地の写角を広く取りたいのと、長辺側でつないだほうがレンズの収差が出にくくなるからです。その代わり、カット数は多くなります。

 効率よく撮影するためにパノラマヘッドという専用の雲台があります。最も簡単なものは、水平回転だけで、周囲に角度の目盛がついたタイプです。少し凝ったものになると、一定の角度でクリックストップがついていて、いちいち目盛を確認しなくてもカメラの振り角度が決められます。

 手元にあったニコンのパノラマヘッドは、「・」印/35mm/50mm/105mm の指標があって、使うレンズによってクリックストップの角度が変えられました。
 45°、38°、16°だったと思います。「・」印にしておくと 360°フリーです。角度目盛には 28mm/85mm/135mm を使ったときの位置がマークされていました。発売時期は S シリーズ全盛時代のようです。

2011/10/03(月)カメラの縦横変換

 カメラを三脚に載せたときに、不便なのが縦位置で撮影するときです。倒す方向が一方に限定されるし、重心が三脚のセンターから外れます。望遠レンズで回転式三脚座がついたタイプは、三脚に据えたときに重宝します。

 タムロン SP80-200mm F2.8(30A)は直進式ズームで、三脚座が簡単に取り外しできました。手持ちで撮影するとき邪魔にならなくていいのですが、リングの幅が狭くてちょっと頼りない感じです。
 三脚座が外れないタイプは、手持ちのときは座台を上側に回しておくと、手になじみやすくなります。

 スタジオ撮影でよく使われたマミヤの中判カメラは、フィルムホルダーが回転するようになっています。レボルビング機能です。ウエストレベルファインダーの場合は、カメラを倒して使うわけにはいかないからです。デジタルバックでもレボルビングタイプがあります。

 ハッセルブラッド 500CM などの 6x6 判は、縦横変換は必要ありません。困るのは、セミ判のフィルムホルダーを使うときです。
 PENTAX 645 などのセミ判一眼レフは、レボルビング機構はありません。ミラーボックスを大きくとると、ボディーがでかくなるし、製造コストが高くなるからです。
 プリズム式のアイレベルファインダーが主流だから、雲台側で縦位置にするか、カメラ側面のネジ穴を使って縦位置に固定します。

 マミヤからカメラ全体を回転させて縦横変換する装置が出ていました。雲台につけた三日月形のレールの上をスライドさせて、カメラを 90°回転させます。マミヤプレス用だったと思います。縦横変換したときに光軸がずれないよう特殊な形を採用したみたいです。
 名前は確か「レボ雲台」だったと思います。一応持ってはいましたが、スタジオ用なので使う機会はあまりなかったような・・・

2011/10/02(日)超望遠レンズの雲台

 カメラを固定するのに便利な三脚ですが、使う機材に見合ったものを使わないと、期待した結果が得られないことがあります。ポイントは、撮影機材の重量と、レンズの焦点距離です。

 カメラが小さくても、焦点距離が長い望遠レンズがついている場合は、しっかりした三脚でないとブレてしまいます。デジカメは撮像センサーのフォーマットサイズが小さいから、コンパクトカメラでも 300mm 相当のズームレンズが搭載されている機種があります。
 これにデジタルズームを加えて 600mm 相当なんてことになると、手持ちはもちろん、柔い三脚ではブレブレでしょうね。

 初心者は三脚の大きさに対する感覚がズレていて、小さいもので十分だと思い込んでいる人が多いように感じます。彼らの言う「大きな三脚」は、プロから見れば小型三脚です。ロケ定番のハスキーを大型三脚と思っているようでは、まだ初心者ですね。

 三脚と雲台のバランスも大切です。2本パーン棒の雲台は、三脚本体とセットで売られている場合が多いからまだいいとしても、自由雲台はほとんどが別売です。一軸で支えるだけに、しっかりしたものを選びたいところです。
 じっくり構えるときは2本パーン棒、スポーツなど動きのあるものは自由雲台と、被写体によって使い分けるのが基本です。

 超望遠ともなると、パーン棒の基部がスリ割り式になっている雲台は、締めたときにカクンと画面がズレることがあります。それを見越してフレーミングすればいいわけですが、画面ズレを起こさない機構の雲台もあります。長玉をよく使うなら、この辺もチェックポイントのひとつです。

 縦横変換できる三脚座がついた望遠レンズは、ビデオ用の雲台が使いやすいかもしれません。適度なテンションがあって、動きが滑らかです。ただし、小さい物は役に立ちません。
OK キャンセル 確認 その他