列車のパノラマ写真2011/10/09(日)
走っている列車を先頭から最後尾まで平行に写すために、特殊なカメラを使います。カメラ自体は三脚で固定し、フィルムの前にスリット板をつけて、列車の動きに合わせてフィルムを動かしながら露光します。
撮像面は天地左右逆像だから、列車が右から左に動いている場合は、フィルムは逆の右方向に巻き上げます。列車の速度とフィルムの巻取り速度が相対的に一致しないと、被写体の長さが変わってしまいます。かなり難易度の高い撮影です。
フィルムは 135 サイズだったと思います。1コマがずいぶん長い原板です。これを特殊な引伸機にかけて、横長の写真に焼き付けます。たぶん壁面投影でしょうね。本物の印画紙を使ってプリントしていました。
仕上がり品は、巻物風にクルクル巻いてパッケージに入れた状態で販売されていました。鉄道ファン向けの商品です。
デジタル写真なら、パノラマ合成は簡単にできます。走っている列車を高速シャッターで連写し、後からパノラマ合成ソフトを使って1枚ものに仕上げます。出力は、ロール紙対応のプリンターを使えば、横長のプリントが得られます。
スリット式との違いは背景です。フィルムは露光中に移動するから背景も線路も流れて写ります。これが列車が走っているように見える秘訣です。
デジカメの方は、静止した同じ背景が繰り返し登場することになります。これではまずいですね。つながりそうな背景を選ぶとしても、長大編成の列車はかなり長いので、すべて同じ背景では不自然です。列車だけ切り抜いて、別の背景と合成するしかなさそうです。
一発で走っている列車を撮るのに、フィルム時代のスリットカメラは、アナログならではの優れものでした。感材メーカーの人からブルトレのを貰いましたが、鉄ちゃんにあげた記憶があるので、手元には残ってないはずです。