2011/03/18(金)標準レンズは交換レンズ

 コンピューターの発達で、光学設計は格段の進歩を遂げました。計算尺でやっていたら何万年もかかるような複雑な計算が、短い期間でできるようになりました。
 非球面レンズは、収差の補正にそれまで何枚もレンズを組み合わせていたのが、少ない枚数で済む画期的な発明です。特殊低分散ガラスも色収差の軽減に威力を発揮しました。

 いまから何十年か前には、ズームレンズは暗くて重いだけで、写りの面では実用できるシロモノではありませんでした。価格も高かったですね。
 いまでは当たり前のワイド側から望遠側までカバーする、いわゆる標準ズームは夢物語でした。Nikon F が活躍していた時代は、ヨンサン・ハチロク、つまり 43-86mm 程度のものしかありませんでした。
 28mm までカバーする標準ズームが実用レベルになったのは、一眼レフが電子化されてからです。

 いまでは、市販の交換レンズの大半がズームレンズです。それ1本で通常の撮影をカバーできる標準ズームとセットで売られています。デジタル化で撮像素子のフォーマットが小さくなったこともあり、ズーム比の高いものも登場しています。

 短焦点の標準レンズは、いまでは交換レンズの扱いです。昔は、F1.4 が約3万円、F1.8 が約2万円としたものですが、値段が高くなりました。いまや買う人ぞ買うレンズです。
 APSC フォーマット専用で明るい標準レンズは、あまり見かけません。数が出ないからでしょう。それでもニコンからは、DX Nikkor 35mm F1.8G が供給されています。フルサイズ対応の 35mm F1.4G では高すぎるからだと思います。

 PENTAX からは、F値が暗いながらも 35mm F2.4、35mm F2.8 マクロ、40mm F2.8 の3本が供給されています。カメラの高感度化で、明るいレンズは必要ないという考え方なのかもしれません。F1.4 とか F1.8 クラスの 35mm は、そこそこの値段になります。
 いざとなればフィルム時代の 35mm F2 と 43mmm F1.9 がまだ出ています。ちなみに、フルサイズ機のない PENTAX では、50mm F1.4 は望遠レンズの括りになっていました。
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