2011/10/10(月)パノラマ専用カメラ

 フィルム時代にはパノラマ写真を撮るために様々な方法が考えられました。最も簡単なのは、画面の上下をカットして横長の原板を得る方法です。コンパクトカメラにも採用されていました。

 パノラマとは名ばかりで、長辺の写角が広がるわけではありません。これと同じ方式は、中判カメラでもありました。ブローニーのカメラに 135 サイズのフィルムを詰め、横長の原板にする方法です。マミヤ 7 などに採用されています。
 フル画面の上下をトリミングすれば、同じパノラマ写真になります。わざわざ別売のパーツを買うまでもないような・・・

 シノゴやゴシチの大判カメラにブローニーの専用フィルムホルダーを使う方法もあります。6x12、6x17 の横長画面の原板が得られます。フォーマットサイズが大きいだけで、コンパクトカメラのパノラマ機能と同じ原理です。アオリができる点は違いますが・・・

 FUJIFILM の GX617 は、6x17 サイズの中判カメラで、屋外での撮影を考慮したフォルムです。パノラマ専用カメラと呼べるのは、このあたりからでしょうね。超広角だけでなく、レンズ交換できるのが特徴です。
 このほかに富山製作所からアートパノラマの名称で、6x12、6x17、6x24 が出ていました。それぞれシノゴ、ゴシチ、バイテンの長辺とほぼ同じです。

 純粋にパノラマ専用機と呼べるのは、パノンから出ていたワイドラックスのように、特殊な機構を備えたカメラです。レンズが回転し、それに連動してスリットシャッターも回転する方式です。対角線で約 140°の範囲が撮影できました。
 前回話題の走る列車を撮影する方法は、レンズが回転するのではなく、列車が移動するのを利用したものです。

 カメラ自体が回転し、360°をグルリ撮影できる変り種もあります。この方式はデジタルでも使われています。業務用なので一般の人が買える価格ではありませんが・・・
 FUJIFILM から 360°パノラマ機能のついたコンデジ(FinePix F300EXR)が出ています。自分でカメラを回す必要がありますが、こちらは2万円程度で楽しむことができます。

2011/10/09(日)列車のパノラマ写真

 もうずいぶん前になりますが、ブルートレインなどの列車を横長のプリントにしたものがありました。ワイドレンズで写して上下をカットするのではなく、全車両を側面から平行に撮影したものです。

 走っている列車を先頭から最後尾まで平行に写すために、特殊なカメラを使います。カメラ自体は三脚で固定し、フィルムの前にスリット板をつけて、列車の動きに合わせてフィルムを動かしながら露光します。
 撮像面は天地左右逆像だから、列車が右から左に動いている場合は、フィルムは逆の右方向に巻き上げます。列車の速度とフィルムの巻取り速度が相対的に一致しないと、被写体の長さが変わってしまいます。かなり難易度の高い撮影です。

 フィルムは 135 サイズだったと思います。1コマがずいぶん長い原板です。これを特殊な引伸機にかけて、横長の写真に焼き付けます。たぶん壁面投影でしょうね。本物の印画紙を使ってプリントしていました。
 仕上がり品は、巻物風にクルクル巻いてパッケージに入れた状態で販売されていました。鉄道ファン向けの商品です。

 デジタル写真なら、パノラマ合成は簡単にできます。走っている列車を高速シャッターで連写し、後からパノラマ合成ソフトを使って1枚ものに仕上げます。出力は、ロール紙対応のプリンターを使えば、横長のプリントが得られます。

 スリット式との違いは背景です。フィルムは露光中に移動するから背景も線路も流れて写ります。これが列車が走っているように見える秘訣です。
 デジカメの方は、静止した同じ背景が繰り返し登場することになります。これではまずいですね。つながりそうな背景を選ぶとしても、長大編成の列車はかなり長いので、すべて同じ背景では不自然です。列車だけ切り抜いて、別の背景と合成するしかなさそうです。

 一発で走っている列車を撮るのに、フィルム時代のスリットカメラは、アナログならではの優れものでした。感材メーカーの人からブルトレのを貰いましたが、鉄ちゃんにあげた記憶があるので、手元には残ってないはずです。

2011/10/08(土)パノラマヘッドを耳軸に

 個人的にはパノラマ写真はあまり撮りませんが、パノラマヘッドは一応持っています。ニコンのは誰かから貰ったものです。ほかに用品メーカーから出ていた小型の簡易タイプが2個あります。

 同じ物が2個あるのは、望遠鏡の耳軸にするつもりで購入したからです。スクリーンの巻上機を取り付ける「コ」の字形のアルミフレームを二つに切断し、左右に耳軸をつけて水平プレートに固定します。
 水平回転は、当時ケンコーから出ていた経緯軸を使いました。形はフォーク式経緯台ですね。

 この経緯軸は、なかなかしっかりしていて、かなり重いものでも十分耐えました。ところが、パノラマヘッドの方が華奢で、磨り減ってガタがきてしまいました。
 小型カメラを載せて水平回転させるためだけのものだったから、縦にして重さのある鏡筒を取り付けるとすぐに磨耗してしまいます。ベランダの手すりに固定して使っていたのですが、短命に終わりました。

 耳軸に流用したものは、いまでいうマンフロのベーシックパノラマ雲台アダプター 627 みたいな形状です。もっと薄くてストッパーのノブがついていました。ちょうどいい大きさだと思ったのですが、強度が足りませんでした。
 かといって耳軸に2万円近くもかけたのでは、自作する意味がなくなってしまいます。安くて強度のあるパーツは、なかなか見つからないですね。

 縦軸の回転に使用するには、やはりボールベアリングを使ったものでないといけないみたいです。ベアリングだけ買ってきて自分で加工すれば安く済むのですが、工作機械がないから諦めるしかありません。フォーク式経緯台は、結局解体してそのままです。

 耳軸にしていたパノラマヘッドは、回すとシャリシャリ音がします。ダイカストが削れたんでしょう。少しガタがありますが、重いものさえ載せなければ、水平回転のパノラマ撮影にはまだ使えそうです。
OK キャンセル 確認 その他